志賀高原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/03 01:04 UTC 版)
生物
動物
志賀高原地域周辺では、オコジョやツキノワグマ、カモシカといった哺乳類から、ヒガラ、ビンズイといった[4]森林性鳥類、河川や湖沼に生息する両生類・爬虫類や魚類・昆虫類等まで、複雑な山岳環境下に多種多様な生物の生息が見られる。特に、国内希少野生動植物種に指定されているイヌワシは、本地域内に複数個体の生息が確認されており、本地域の豊かな自然環境の指標であるといえる。また、雑魚川及び魚野川源流域に生息する在来イワナ個体群は、志賀高原漁業協同組合の長年の保全活動により、現在でも流域単位の遺伝的固有性を保持している。岩菅山の高山帯及び雪崩草地、魚野川源流域のブナ林内のギャップ等に成立する草地には、ベニヒカゲ等の高山性蝶類、オオゴマシジミ等の希少なシジミ類の生息域となっている。
- ホンドオコジョ(準絶滅危惧(NT))
- ホンドタヌキ
- ニホンツキノワグマ
- ホンドテン
- ニホンカモシカ(国の特別天然記念物)
- ニホンザル(ホンドザル)
- トウホクノウサギ
- ホンドリス
- ホンドギツネ
- ヤマネ(準絶滅危惧(NT))
昆虫
四十八池湿原、田ノ原湿原、高天ヶ原・一ノ瀬湿原、焼額山湿原、北ドブ湿原(カヤノ平)、一沼などが、「志賀高原周辺湿原群」として環境省から「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(略称「重要湿地」)」に選定されており、キイロマツモムシの南限生息地であり、エゾイトトンボ・ルリイトトンボ・モイワサナエ・カオジロトンボ・チャイロシマチビゲンゴロウなどの昆虫類が見られる[8]。これ以外に以下のような昆虫もいる。
植物
志賀高原地域は、日本海に近く、標高が1000m以上の地域に位置することから、比較的低標高域のブナ、ナラ等を中心とした植生から、高標高域のオオシラビソやコメツガ等の針葉樹林、並びに広葉樹のダケカンバまで連続的な分布が見られる。また標高2000m付近の稜線等ではハイマツ帯が見られ、森林限界より高標高域では高山植物の群落が形成されている。
岩菅山南東の魚野川源流域には手つかずの状態で残されている広大なブナまたはオオシラビソ等の原生林が広がっているほか、岩菅山から裏岩菅山にかけての稜線部に見られるお花畑には、ハクサンコザクラ等の高山植物が見られ、貴重な景観要素を有している。岩菅山の東側斜面では、頻繁に発生する雪崩に起因する低木群落が見られ、高山帯と合わせてジョウシュウオニアザミ、ホソバコゴメグサ等の分布範囲の極めて狭い草本類の生育地となっている。
岩菅山の北西斜面の崖地には、本地域では珍しいイチョウシダ等の希少な石灰岩植物が見られ、多様性に富んだ植物相が認められる。
その他、本地域で特筆すべきものとして、志賀山周辺の地域における高層湿原が挙げられる。火山活動により無数の凹地が形成されたことで大小様々な池及び高層湿原が形成されており、いずれも貴重な湿性植物が育成している。特に、北ドブ湿原には分布が南限に当たるチシマウスバスミレ、オオバタチツボスミレの2種が生育しており、植物地理学上も極めて重要である。
東館山山頂には東館山高山植物園が設けられている。四十八池湿原、田ノ原湿原、高天ヶ原・一ノ瀬湿原、焼額山湿原、北ドブ湿原(カヤの平)、一沼などが、「志賀高原周辺湿原群」として環境省から「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(略称「重要湿地」)」に選定されており、ミカヅキグサ-ミヤマイヌノハナヒゲ群落,ヌマガヤ(イネ科の多年草)群落などの湿原植生が見られる[8]。
これ以外に、アカモノ、イワカガミ、ウスユキソウ、ウメバチソウ、エンレイソウ、オオカメノキ、オオシラビソ、オオバミゾホオズキ、オガラバナ、オヤマリンドウ、キヌガサソウ、キンコウカ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、コバイケイソウ、コマクサ、コミネカエデ、コメツガ、サンカヨウ、シラカンバ(白樺)、シラネアオイ、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、ダケカンバ、タテヤマリンドウ、チシマザサ(根曲がり竹)、チングルマ、ツリバナ、ナナカマド、ノリウツギ、ヒオウギアヤメ、ヒカリゴケ、ヒメシャクナゲ、フタリシズカ、マタタビ、マツムシソウ、ミズキ、ミズバショウ、ムラサキヤシオツツジ、モウセンゴケ(食虫植物)、ヤナギ、ヤハズハンノキ、ユキザサ、レンゲツツジ、ワタスゲなどがある[11]。
- ^ a b 環境省 上信越高原国立公園(志賀高原地域)区域及び公園計画図
- ^ 志賀高原旅館組合『志賀高原旅館組合誌』(1997年)
- ^ 環境省『上信越高原国立公園(志賀高原地域)公園計画書』(平成31年1月31日)25頁(43枚目)
- ^ a b “Shiga Highland Biosphere Reserve, Japan” (英語). UNESCO (2020年4月). 2023年1月27日閲覧。
- ^ 志賀高原漁業協同組合原種保存指定河川
- ^ a b 山ノ内町観光連盟
- ^ ネットウェーブ「長野県スキー発祥100年の歴史(1961年)」(2011年発行)
- ^ a b c 環境省「重要湿地 №235 志賀高原周辺湿原群」
- ^ 長野県指定等文化財15県天然記念物
- ^ 三石暉弥 (1990) ゲンジボタル,信濃毎日新聞社.
- ^ 志賀高原ハイキング(北信濃)
- ^ 2013年12月4日『信濃毎日新聞』紙面記事。
- ^ 奥志賀高原牧場
- ^ 奥志賀高原牧場「ようこそ奥志賀高原牧場へ」
- ^ 一般社団法人日本草地畜産種子協会「全国公共牧場マップ」
- ^ 「志賀高原旅館組合誌」(97頁)
- ^ 国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業
- ^ 「長野・志賀高原、廃屋撤去で景観向上、レジャー施設誘致へ」『日本経済新聞』電子版(2019年11月30日配信)2020年1月9日閲覧
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