構体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 08:46 UTC 版)
全金属製の18m級軽量車体で、京阪初の両開客用扉を採用するなど、同時期に日本国有鉄道(国鉄)ならびに私鉄各社において新製・開発が進みつつあった次世代通勤形電車の流儀が各部に取り入れられている。当時の京阪においては、ばね上装架の駆動装置(カルダン駆動装置)を1800系 (初代)で、空気ばね台車を1810系でそれぞれ採用するなど新機軸を積極的に導入しており、本形式の軽量設計構体・両開客用扉もその一つに含まれる。なお、側面窓下にはウィンドウシルが設置されており、同時期落成の1810系とともに昭和30年代に新製された車両としては非常に珍しい存在であった。 客用扉は1,200mm幅で、従来車の片開客用扉と開口幅そのものは変化はないが、動作速度の向上と扉の引き残り幅減少によって乗降時間の短縮に寄与するものとなった。客用扉窓は扉枠一杯に広げられた大型窓とされ、戸袋部分に設置された650mm幅でHゴムにより支持された戸袋窓とともに採光性と外観における軽快な印象を両立させている。軌道線を除く関西の大手・準大手私鉄および公営交通における戸袋窓を有する両開扉車両は、本形式を除くと大阪市営地下鉄に存在する程度であり、非常に希少な例であった。京阪においても京津線向け高床車各形式を別にすれば、後に新製された両開扉車両各系列においては戸袋窓が省略されたことから、京阪線における戸袋窓を有する両開扉車両は2008年(平成20年)に新製された3000系 (2代)の登場まで本形式が唯一の存在であった。なお、戸袋窓や両開き扉といった本形式で初採用となった設計については京阪電気鉄道の車両課にもその採用に迷いがあったとされ、本形式新造直後に守口車庫を訪れた愛好者に感想を聞いて、その反応を確かめていたことが伝えられている。 窓配置はd1(1)D(1)2・2(1)D(1)2・2(1)D(1)1(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓、各数値は側窓の枚数)で、側窓は800mm幅の二段上昇式で、扉間の側窓については窓2つを1組としたユニット形状が採用された。側窓上隅部はやや強めの曲線を描いており、上段窓窓枠の上辺が常に幕板部に隠れる、つまり側窓の開口部を最大限に活用したガラス窓寸法と共に、1700系以来の仕様を踏襲している。 前面形状は丸妻3枚窓構造で、中央部に貫通扉を備えるという類型的なものであるが、折り返し駅での行先表示板の交換の便を図って車掌台側の窓を開閉可能な2段上昇式とする京阪では標準的な仕様を踏襲したため左右非対称の配置となっており、さらに貫通扉の窓はHゴム支持による1枚固定窓、運転台側の窓はアルミサッシによる1枚固定窓としたため、前面の3枚の窓全ての構造が異なったものとなっている。貫通幌は連結面側にのみ設置され、運転台側は幌固定穴ならびに吊り下げダンパー受け金具が整備されたものの、幌本体は設置されていない。 前照灯は1灯式のものが前面中央の貫通路上部に半埋込式で設置され、標識灯は従前通り取り付け式のものが左右幕板部に1灯ずつ設置された。1800系 (初代)・1810系においては固定編成を組成する車両の連結面は切妻形状とし、増結目的で新製された車両の連結面は片運転台車であっても前面同様に丸妻形状とする区分がなされていた。対応する電動車形式のない本形式については後者の設計方針が踏襲され、連結面の妻面形状も丸妻とされた。また、屋根については前面のみであったが、幕板部分を屋根まで巻き上げた張り上げ屋根構造を250型以来17年ぶりに採用した。屋根断面は中央部をR4,500、両脇をR1,000、肩部をR200の曲線としたやや扁平気味で肩の張った形状で、可能な限り単一曲率とし、しかも連結面を切妻として工作の簡易化を図った600系 (2代)や700系 (2代)と比較して優美な印象を与える造形となっている。 屋根上には押込式の通風器を計12基、屋根部左右に2列配置で設置し、各車の運転台寄りにはパンタグラフ台座ならびにパンタグラフ点検用踏み板(ランボード)が設置された。
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構体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 14:21 UTC 版)
車体はすべて普通鋼製で、軽量化のため強度計算を入念に行った。また、車体の防音にも注力し、床板はキーストンプレートを採用した。 側面窓は日本車輌の提案により、窓柱を車内に収め、ガラスで柱部分も覆う「連続窓」という固定窓構造が採用された。側面のガラスは熱線吸収複層ガラスを使用し、基本的な寸法は幅1,500mm・高さ850mmで、ガラスの厚さは外側5mm・内側5mmとし、2枚のガラスの間には6mmの空間を設定している。扉と扉の間では、先頭車ではこのガラスが4枚、中間車では5枚並ぶ。中間車の戸袋部分の窓には幅850mm・高さ850mmのガラスを使用した。客用扉は幅1,100mmの片開き扉を2箇所に配した。 レール上面から床面までの高さは、先頭の展望室が1,040mm、それ以外の客室では1,150mmである。
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構体
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「小田急3000形電車 (初代)」の記事における「構体」の解説
それまでの特急車両では、格下げを考慮して 車体の強度を定員の250%の荷重として計算していたが、SE車では将来の格下げは考えず、定員の130%として荷重を計算した上で航空機の技術を取り入れ、各部にわたって徹底的な軽量化を図った。 車体構造は強度部材の軽量化のために張殻構造とし、車体外板はそれまでの車両よりも半分近い厚さ1.2mm の耐蝕鋼板を採用し、バックリング防止のため 125mm間隔でリブを入れることによって強度を補う構造とした。この耐蝕鋼板は日本鋼管に開発を依頼した もので、銅とリンを加えたものである。当初計画では車体に軽合金を使用する予定であった が、車両メーカー側で軽合金車両の製造経験がなかったこと と、価格が高いという理由により 鋼板を使用している。 車体断面は下部を半径4,000mmの緩いカーブで絞り込み、側面上部を4度の傾斜角で内傾させた形状とすることで、横風に対する安定度を確保し、風圧の影響を減少させることを図った。低重心化のため台車間の床面を低くし、軌条上面から床面までの寸法は、台車の上では1,000mm で車体中央部では875mmとなった。台枠部は航空機の主翼構造を応用し、それまでの鉄道車両には存在した中梁を廃した 上で、波板が縦方向の圧縮強度も担うようにした ほか、横方向の梁には航空機と同様に重量軽減孔を開けることで軽量化を図った。床板にも航空機の技術を応用し、ハニカム構造が採用された。 こうした工夫の結果、構体重量は従来車が1mあたり500kgだった ものが、SE車では1mあたり370kgにまで軽量化され、2300形が全長70mの4両編成で135t(1mあたり1.93t)であった のに対して、SE車では全長108mの8両連接車でありながら147t(1mあたり1.36t) と、大幅な軽量化を実現した。 なお、製造時にはそれまでの鉄道車両ではあまり行われていなかった 荷重試験が行われ、構体の175箇所に対して ねじれや圧縮などの力を加えた測定が行われた。荷重試験については、島も「国鉄車両の車体構造の設計に役立った」と評価しており、これ以後は国鉄・私鉄を問わず、新設計の車両では必ず荷重試験が行われるようになった。
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構体
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「はやぶさ (探査機)」の記事における「構体」の解説
構体は、内部に電子機器や推進剤タンクなどを収容し、宇宙空間での温度差からそれらを保護すると同時に、内外の機器類の固定用強度部材となる。
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