蹴鞠 蹴鞠で代表的な人物

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蹴鞠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 16:08 UTC 版)

蹴鞠で代表的な人物

白峯神宮の鞠庭

各時代において多数の名足を生み出したが、平安後期の藤原成通は特に希代の名人と言われ、後世の蹴鞠書でも「蹴聖」と呼ばれている。

成通が蹴鞠の上達のために千日にわたって毎日蹴鞠の練習を行うという誓いを立てた。その誓いを成就した日の夜のこと、彼の夢に3匹のの姿をした鞠の精霊が現れ、その名前(夏安林(アリ)、春陽花(ヤウ)、桃園(オウ))が鞠を蹴る際の掛声になったと言われている。この3匹の猿は蹴鞠の守護神として現在、大津平野神社京都市白峯神宮内に祭られている。また、その名前から猿田彦を守護神とする伝承もあった事が『節用集』に書かれている。

成通は順徳天皇の『禁秘抄』の中でも「末代の人の信じがたいほどの技芸」と書き記され、清水の舞台の欄干の上を鞠を蹴りながら何度も往復した、とか、従者たちを並ばせてその頭や肩の上でリフティングをしたが従者たちは誰も気付かなかった、など、信じがたいエピソードが数多く残っている[13]

蹴鞠を家業とする人物

公家の流派のうち難波流・御子左流は近世までに衰退したが、飛鳥井流だけはその後まで受け継がれていった。飛鳥井家屋敷の跡にあたる白峯神宮の精大明神は蹴鞠の守護神であり、現在では蹴鞠保存会の稽古場でもあり、「サッカー神社」とも称され[6]、球技・スポーツの神とされている。毎年4月14日と7月7日には蹴鞠奉納が行われる。

下鴨神社では現在でも毎年1月4日に「蹴鞠はじめ」が行われている。日本サッカー協会シンボルマークのモチーフでもある「八咫烏」は下鴨神社の祭神「賀茂建角身命」の化身とされる。

堂上と地下

蹴鞠の流派は難波・御子左・飛鳥井の堂上家のみだったが、正安4年(1302年)の資料によると、賀茂神社の神主など、昇殿を許されていない地下(じげ)の者で蹴鞠を教える流派が現われた(地下鞠)[14]応永から享徳の間(15世紀前半)に難波流・御子左流が絶えると、蹴鞠は飛鳥井家の門の独占となったが、賀茂系の松下氏などは私的に教えた[14]。これを受けて飛鳥井家は将軍家に訴えて松下氏の教授を禁止する令を何度も出させたが、慶長(17世紀初頭)の頃まで争いは続いた[14]。飛鳥井家は鞠装束の制を作って地下との差別化を図ったが、別の地下鞠も起こった[14]寛永正保の頃(17世紀半ば)に外良右近正光という蹴鞠のうまい人物が現われ、京阪や江戸で興行したが、卑賤の町人に見せたとして師範の飛鳥井家から江戸幕府に訴えられ伊豆大島遠流された[15]

蹴鞠を遊んだことのある人物

藤原成通と蹴鞠の精の三猿

  1. ^ a b c d 蹴鞠(しゅうきく)保存会理事 山本隆史「理想の蹴鞠作り この手で◇京都の保存会で製法調査し復元、優雅な蹴り心地求め四半世紀◇日本経済新聞』朝刊2021年12月29日(文化面)同日閲覧
  2. ^ a b 中沢新一『精霊の王』(講談社学術文庫、2018年)第1章 謎の宿神
  3. ^ ウィキメディア・コモンズには、中国の蹴鞠に関するカテゴリがあります。
  4. ^ a b c d 神社と深くつながる「蹴鞠」國學院大学2018年2月16日
  5. ^ 日本書紀24巻、皇極天皇三年(644)正月条、「打毱(まりうち・ちゃうきゅう)の侶に預りて、皮鞋の毱の隨に脱け落つる」
  6. ^ a b c d e f g (文化の扉)蹴鞠、「和の精神」に通ず/相手思いやり、勝敗なし■「古くは競技」の解釈も朝日新聞』朝刊2018年11月26日(2019年9月20日閲覧)
  7. ^ 本朝月令文武天皇大宝元年5月5日、『古今著聞集
  8. ^ a b c d e 尾形弘紀「蹴鞠の哲学、または地を這う貴族たち ―院政期精神史のひとつの試み(三)」『中央大学文学部紀要 哲学59号(2017年2月22日)
  9. ^ 佐々木徹 著「戦国期奥羽の宗教と文化」、遠藤ゆり子 編『伊達氏と戦国争乱』吉川弘文館、2016年、239頁。 
  10. ^ 渡辺融 「フットボール、昔と今」
  11. ^ 増川宏一『合わせもの』法政大学出版局〈ものと人間の文化史〉、2000年、126-129頁。ISBN 4588209418 
  12. ^ 蹴鞠 宮内庁(2021年12月29日閲覧)
  13. ^ そもそもルールが全く違う?日本サッカーの意外すぎる歴史とは?”. 初心者女子のためのスポーツメディア♡ | spoitスポイト. 2020年6月13日閲覧。
  14. ^ a b c d 蹴鞠『国史大辞典. 第2 かーこ』八代国治等編(吉川弘文館、大正14-15年)
  15. ^ 『見世物研究』(春陽堂, 1928年)p.16
  16. ^ 池 2014, p. 22.
  17. ^ 池 2014, p. 23.


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