中古車 各国の中古車

中古車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/13 03:21 UTC 版)

各国の中古車

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、中古車市場は年間約3,700億ドルの規模があり、全米の自動車販売の約半分の規模があり、また小売部門の中で最大の部門となっている。2005年には4,400万台の中古自動車が販売され、台数では新車販売1,700万台の倍以上となっている。

アメリカ合衆国の連邦取引委員会(FTC)は、消費者が中古車を購入する場合は、あらかじめ中古車販売業者の評判(第三者からの評価)をよく確認することを勧めている。

アメリカ俗語で質の悪い中古車は「レモンカー英語版」と呼ばれている[5]。アメリカの経済学者ジョージ・アカロフは、中古車市場で購入した中古車は故障しやすいといわれる現象のメカニズムを分析し、不良品が流通しやすい市場を「レモン市場」と呼んだ。

車歴報告書

アメリカでは2006年時点で、34 %の消費者が中古車購入前に、その中古車の履歴が判る「車歴報告書(vehicle history report)」を手に入れている。これは各州の運輸局が車体番号を基に発行している報告書であり、当該車に関して、過去にどのような保険金が支払われたかどうか、過去の交通事故歴といったことも記載されている。また、過去の所有者の変更・遍歴、それにともないオドメータ(累積距離計)の数字がどのように変化してきたかも記載されているものである。ここには併せて、「en:lemon law レモン法」 と呼ばれる法規(レモン市場を改善させるための法規群)、(ありがちな)オドメータの改竄、消費者にとって有用なリコールなどについても説明がなされている。

カナダ

カナダオンタリオ州では、新車および中古車の販売はオンタリオ自動車産業協議会(Ontario Motor Vehicle Industry Council)によって規制されている。協議会設立の目的は情報提供、不公正取引の防止、自動車および販売行為の品質向上・維持、苦情取り扱いなどによる消費者保護である。

日本

新車を購入した所有者が次の車に買い換える際に、それまで乗っていた車を自動車ディーラー(新車販売店。以下、ディーラーと略)に下取りに出すか、中古車買取・販売業者に売り渡す。これらの業者には、古物業法に基づく古物商の許可が必要になる。

業者が買い取った中古車のうち、商品としての残存価値(利益)が大きい場合、整備板金塗装の後に自ら販売したり、現状で中古車オークションへ出品する[注釈 2]か、同業者に販売(業販)される。車両丸ごとでの利益が見込めない場合は解体業者に販売され、部品取りとして解体され、中古部品市場へと回る。

1985年(昭和60年)にドバイジュベル・アリ・フリーゾーン(免税の経済特区)が開設されると、1980年代末から中東南アジア系ブローカーと在留外国人による同地のドバイオートゾーン(DAZ[6])への中古車輸出が盛んになり、ソ連崩壊後は極東ロシア向けの輸出も始まった。これにより、経済成長によって自動車が必要となった開発途上国新興国向けに、四輪駆動車やトヨタ・ハイエースなど特定の商用車をはじめ、小型から大型までのトラックバス、引き取り手のなくなった乗用車などを輸出するルートが出来上がった。これらは日本国内で解体・分別廃棄またはリサイクルを行うよりも利益が出るため、国内外の業者双方にとってメリットがあった(後述)。一方、これらの小口輸出ルートではすべてのコンテナの中身を完全に検査する事が難しいため、依然として盗難車が流出する温床ともなっている[7]

日本の中古市場の変遷

モータリゼーションが訪れた1960年代には中古車流通の仕組みが整っておらず、ディーラーが自社で販売しきれない下取り車は直接、あるいはブローカーを介するなどして独立系中古車販売業者に業販していた。独立系業者は零細企業個人事業主が多く、市場の主導権はディーラーが握っていたが、ディーラーは中古車部門にあまり力を注いでいなかった。

1960年代から1970年代には後楽園球場(現・東京ドーム)で中古車フェアが開催された。石橋正二郎に可愛がられ、当時中古車販売店を経営していた海老原勝[注釈 3]の紹介によって実現したものである。

この頃に中販連関東甲信越連絡協議会では各中販連の会員の展示場に中販連のマーク入りの横断幕を掲げて、この店は中販連の会員店であると、会員でない専業者(アウトサイダー)との違いを明確に色分けするものだった(同一の会場に数百台の車を集めて大衆を動員し積極的に中古車を売るという催しではない)。

1970年代にはオークション形式での業者間取引が各地で行われるようになり、1980年代にはユー・エス・エスをはじめとするオークション業者による大規模な現車オークションや、オークネットによる通信衛星を介したネットオークションなどが行われるようになる。これにより大口での売却が常に可能となったため、1990年代にはガリバーインターナショナルに代表される新業態「中古車買取専門店」が各地に登場する。さらに、安定した仕入れも可能になったため、特定の車種だけを集めるなどの特徴を持った独立系販売業者も増えることとなった。

新車から中古車へ需要がシフトしたのが追い風となり、1990年代後半まで市場全体が大きく拡大。買取専門店チェーンなどが成長した一方、市場におけるディーラーの地位は相対的に低下した。

1990年代後半以降は市場全体が頭打ちとなり、単価の安い低年式車への需要シフトも起こった。

また、2000年にはトヨタ自動車が買取専門店チェーンT-UPを立ち上げ日本最大級のネットワークを構築するなど、メーカーやディーラーも中古車に力を注いでいる。

中古車の輸出

輸出された日本の中古車
(トヨタ・カローラアクシオ)
初代モデル。本来は国内専用車
左ハンドルに改造された日本の中古車
(トヨタ・カリーナED)
国内専用車のため右ハンドルしか存在しないが、輸出先(中国本土)では右ハンドル登録不可のため左ハンドルに改造されている。
輸出先の規制に対応するためカットされたXDエラントラ前期(ノーズカット)、AE100GカローラツーリングワゴンE24キャラバン(ハーフカット)。後ろには同じく輸出用のH50ハイエースのバックドアも。

1980年代頃から、日本で使われた中古車及び中古部品(乗用車、トラック、バス問わず)の輸出が多くなってきた。商用車の場合、日本語の企業・学校名が入っていたまま輸出するケースも少なくない。当初は日本と同じ左側通行/右ハンドルの地域へ輸出するクルマが多かったが、1990年代から右側通行のロシア連邦モンゴルなどへも右ハンドルのまま輸出するケースが出てきた。中にはボリビアチリなど南米を中心に輸出先の右ハンドル車の登録が認められない法規制に合わせ、左ハンドルに改造されるケースも存在する。

2005年頃からは急激な円安により、新車も正規代理店を通さないで現地により輸入される、いわゆる「並行輸入」のクルマも増えており、英語では「グレー・インポート・カー英語版」もしくは「パラレル・インポート・カー」等と呼ばれている。

2006年以降、毎年約120万台程度が輸出されており、主な向け先は、バングラデシュパキスタンニュージーランドカザフスタンタンザニアザンビアコンゴケニアトリニダード・トバゴパラグアイペルーボリビアマレーシアミャンマータイオーストラリアドミニカ共和国アイルランドイギリス等。イギリス向けは現地で販売されていない車両を好む愛好家向けが主になっている。

輸出先によっては中古車のコンプリート状態での輸出が認められない(または手続きが煩雑である)、あるいは単純に1コンテナあたりのスペース効率を上げたいなどの事情から、あえてモノコックを切断し「中古部品セット」として輸出する場合もある[注釈 4][8][注釈 5]

2010年代頃から、日本の中古車輸出企業 carview(tradecarview)、ビィ・フォアード等がインターネット上にECサイトを開設して、海外のユーザーが直接サイトにアクセスして購入するスタイルが主流になりつつある。

極東ロシアハバロフスクウラジオストクなどに輸出されてきたが、政府が関税の引き上げに踏み切って以降、日本からの中古輸出が減少した。

2017年1月からは、ロシア国内で販売する全ての車両に、ロシア版衛星測位システムGLONASS」の端末搭載が義務付けられたため、システムの後付けが必要となる中古車の競争力が相対的に低下した[9]。とはいえ相変わらず日本にとってロシアは中古車の最大の輸出先であり、テレビ朝日の報道によると2022年ロシアのウクライナ侵攻を発端とした経済制裁による急激な輸出減がユー・エス・エスオートオークションに於ける取引平均価格に1ヶ月で10万円近く、割合にしてほぼ1割という多大な下落を及ぼす程である。[10]

バスの中古車

日本のバス事業者では鉄道と同じく地方のバス会社は自動車NOx・PM法の適用区域から廃車となった中古車を導入する例が多いが、その中には自動車NOx・PM法の適用区域の会社なら自動車NOx・PM法の適用区域外の子会社に譲渡されるケースも多い[注釈 6]。地方のバスでも遠州鉄道[注釈 7]淡路交通一畑バス[注釈 8]伊予鉄バス[注釈 9]西日本鉄道[注釈 10]などのように会社の事情で中古車を導入しない会社も存在する。

オーストラリア

オーストラリアクイーンズランド州では、走行メーターが16万キロメートル以下で、かつ10年以内の製造であれば、3ヶ月または5,000キロメートル以内の走行の保証が義務付けられている。走行メーターが16万キロメートル以上または10年以上前の製造であれば、1ヶ月または1,000キロメートル以内の走行の保証が義務付けられている。


台湾

韓国

インド

欧州連合

欧州連合では、欧州連合の規定に基づき12ヶ月有効の「品質保証」が義務化されている。

アフリカ


注釈

  1. ^ 年式が相当古い中古車は、一部の人達から「大古車」(たいこしゃ、だいこしゃ)と称される事もある。
  2. ^ 人気があり市場価格も高い車種で安易に利鞘を稼ごうとして、きちんとした修理をせずに中古車オークションに出品する悪徳業者も存在し、「中古車オークションの闇」、「ヤフオク!の闇」(を暴く)と題した動画が YouTube に複数存在する。後述の#中古車販売にかかわる諸問題も参照。
  3. ^ プリンス販売に入社し日産プリンス自動車販売営業社員をしていたが退職後も石橋正二郎に可愛がられていた。
  4. ^ Aピラーあたりで切断するハーフカット、フロントオーバーハングを切り取るノーズカットの2タイプがある。
  5. ^ マークⅡ系列での実例。オーストラリア人が自国にあるX80系クレシーダ(日本名・マークII)をカスタム(1JZ-GTEへのエンジンスワップ)するべく、同系(JZX81)チェイサー2.5GTツインターボをそのままでも走行可能な状態であるにもかかわらずあえてハーフカットにしてコンテナに詰める状況が見られる。この動画のナレーションには「second hand cars and parts are available for much cheap than Australia.(意訳:中古車・中古部品が(日本では)オーストラリアよりもすごく安く買える)」とあり、中古車・部品の輸出の背景がかいま見える。
  6. ^ 例:東急バスじょうてつ京成バス関東鉄道西武バス伊豆箱根バス近江鉄道名鉄バス岐阜乗合自動車北陸鉄道宮城交通など、近鉄バス奈良交通明光バス防長交通南海バス和歌山バス南海りんかんバス熊野御坊南海バス京阪バス京阪京都交通など
  7. ^ 逆に遠鉄バスの車両が他社に譲渡される場合もある
  8. ^ 一畑電気鉄道直営時代だった1990年代初頭まで、「山陰いすゞ自動車」というディーラーをいすゞ自動車との共同出資で持っていた為である。その後、いすゞ自動車側に持株を売却し、数々の合併を経ていすゞ自動車中国四国となった。
  9. ^ 伊予鉄グループとして愛媛日野自動車を傘下に持つため。
  10. ^ 傘下に西日本車体工業(西工)を有していたことから。
  11. ^ 2000年代以降の国内メーカーによる海外生産車種の例:トヨタ・プロナードトヨタ・ヴォルツトヨタ・アベンシス日産・デュアリス(2007年以前のモデル)、日産・マーチ(4代目)、日産・ラティオ(2代目)、ホンダ・フィットアリア三菱・トライトン三菱・ミラージュ(6代目)、スズキ・スプラッシュスズキ・SX4 S-クロス(2代目)、スズキ・エスクード(4代目)、スズキ・バレーノなど
  12. ^ 例えば社外品のアルミホイールに交換しインチアップされたスポーツカーがあったとして、それがスポーツカーの需要層(例えば走り屋)に人気のデザインなら売りやすくなる=査定額が上がり、逆にVIPカーが履くようなホイールだった場合売りにくくなる=査定額が下がるといった変化がある可能性もあるだろう。

出典

  1. ^ 出典:デジタル大辞泉
  2. ^ 国連環境計画”. 国際連合. 2023年10月18日閲覧。
  3. ^ a b c [1]
  4. ^ Flammang James (1999),100 Years of the American Auto.
  5. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “米で“落ちこぼれ車”ショー カリフォルニア”. 産経フォト. 2022年1月30日閲覧。
  6. ^ 布留川 司 (2022年7月9日). “砂漠にズラリ日本車 中東最大の中古車市場@ドバイを歩く ランクルから消防車まで 取引額は?”. 乗りものニュース. 2023年8月11日閲覧。
  7. ^ 被害金額急上昇! 盗難車はなぜ海外に? 中東に「輸出」される衝撃の裏事情”. ベストカーweb (2021年9月21日). 2023年8月11日閲覧。
  8. ^ How to get parts from Japan - YouTube
  9. ^ ロシア、新安全規制で日本製「狙い撃ち」か 中古車輸入で混乱広がる”. SANKEI Biz (2017年8月22日). 2018年11月23日閲覧。
  10. ^ 中古車が大幅値下がり ロシア向け輸出急減が影響 - YouTube
  11. ^ “不正防止策を逆手 中古車のメーター巻き戻しに新手口”. 朝日新聞. (2014年12月9日). http://www.asahi.com/articles/ASGCL6VMXGCLPTIL038.html 
  12. ^ “中古テスラに搭載の自動運転オプション、OTAアップデートで削除。”. オリジナルの2020年2月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200209003236/https://japanese.engadget.com/jp-2020-02-08-ota.html 
  13. ^ 【世界へぇDATA】中古車、輸出先で環境汚染/日米欧から4割アフリカへ『日経産業新聞』2020年12月21日(グローバル面)
  14. ^ 平成二十五年 予算特別委員会速記録第四号速報版〔原田大〕






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