マジュンガサウルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 02:43 UTC 版)
マジュンガサウルス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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生態復元想像図
(2007年、ノブ・タムラ筆) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中生代白亜紀(後期白亜紀)マーストリヒチアン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「シノニム」節にて詳説。
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
マジュンガサウルス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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マハジャンガ州の中央部にあるマハジャンガ盆地 (Mahajanga Basin) のマーストリヒチアン堆積層の一つであるマエヴァラーノ累層(70–65.8Ma) より産出している、すなわち、マエヴァラーノ動物相 (Maevarano fauna) に属する絶滅種である。
名称
Majunga-saurus
属名の構成要素である "Majunga" は、本種が、マダガスカルはマジュンガ州の州都である "Majunga(マジュンガ)" の近くで出土したことに由来する。現地語であるマダガスカル語では "Mahajanga(マハジャンガ、マージャンガ)と読み書きするが、学名に採用されたのはフランス語の綴り字である。
"saurus" のほうは、「トカゲ」を意味する古代ギリシア語普通名詞 "σαῦρος(サウロス)" に由来する分類学用新ラテン語名詞接尾辞 "-saurus(サウルス)" [1]であり、「爬虫類」を意味するが、恐竜に用いられることが多いため、「恐竜」と意訳して[1]差し支えない。
なお、マダガスカル語のほうは、同時期の同地域で共存していた(つまり、マエヴァラーノ累層産出の)Mahajangasuchus(マハジャンガスクス。メタスクス類の絶滅種)の学名に採用されている。
crenatissimus
種小名 crenatissimus(クレナティッシムス)は、そのまま、分類学用新ラテン語 "crenatissimus" であり、"very crenate"「際立って円鋸歯状の」を意味するが、その構成要素はいずれもラテン語の "crēnāt(e)" と"-issimus" である。"crēnāt(e)" は "notched, toothed"「鋸状の歯を有する」を意味する "crēnātus" から来ており、"-issimus" は "most, very much"「最も多くの、非常に多い」を意味する[2]という。ただし、言語的正確性を背負って注記するなら、-issimus は強調の接尾辞であり、それ自体は「多くの」「多い」などといった語意を持たない。
分類
シノニム
- Megalosaurus crenatissimus Depéret, 1896
- メガロサウルス・クレナティッシムス
- crenatissimus 種は、フランスの地質学者で古生物学者のシャルル・デペレ (Charles Depéret) によって1896年に記載されたが、それは genus Megalosaurus(メガロサウルス属)の1種としてであった。しかし、古生物学が発展により、科という高いレベルで別グループに分類すべきものであったことが分かるようになる。1955年、フランスの古生物学者ルネ・ラヴォカ (René Lavocat) は crenatissimus 種が genus Megalosaurus とは異なる新属のものであるとし、新属 Majungasaurus(マジュンガサウルス)とその模式種 Majungasaurus crenatissimus(マジュンガサウルス・クレナティッシムス)を記載した。
- マジュンガトルス・アトプス
- genus Majungatholus(マジュンガトルス属)はハンス=ディーター・スーズとフィリップ・タケによって1979年に記載されていた[3]が、先述のラヴォカが1955年に記載した genus Majungasaurus(マジュンガサウルス属)と同一であることが2000年代に証明された。これにより、Majungatholus は Majungasaurus のシノニムとなり、無効名となった。atopus 種も認められなかったため、Majungasaurus が模式種のみで構成される属であることに変化は生まれなかった。
類縁関係
マジュンガサウルスは、まだ南半球の中緯度地域(ゴンドワナ大陸のアフリカ大陸部の東側にあって現世と大して座標を変えていないマダガスカル部の北東で隣接する地域)に位置していた頃のインド亜大陸で形成されたラメタ累層 (72−66Ma, 70-66Ma) から出土しているラジャサウルスやラヒオリサウルスとの強い類似性が認められることから(ラジャサウルスとラヒオリサウルスは、アベリサウルス科に分類されるほか、その下位にマジュンガサウルス亜科を設けてマジュンガサウルスと共に納める学説がある。)、そもそも後期白亜紀のマダガスカル島はまだ完全に孤島化しておらず、ゴンドワナ大陸のアフリカ大陸部から東側へ分離してゆくことになるマダガスカルとインド亜大陸部はたびたび繋がっていたのではないかという学説が提唱されるようになった[4]。
系統分類
以下のクラドグラムは古生物学者ティエリー・トゥルトーザ (Thierry Tortosa) らによる2014年発表の説[5]に基づく。
Majungasaurinae マジュンガサウルス亜科 |
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注釈
出典
- ^ a b “-saurus” (English). Online Etymology Dictionary. 2021年5月4日閲覧。
- ^ Krause et al. (2007), p. 2, Etymology—From crenatus, Latin, “notched or toothed”, and issimus,“most or very much”; in reference to “the serrations which are extended along the entire length of the two trenchant ridges of the teeth”(Depéret, 1896b:191).
- ^ a b c Sues et Taquet (1979).
- ^ 『大恐竜展』 (2009), pp. 10、86.
- ^ Tortosa et al. (2014).
- ^ Grillo et Delcourt (2016).
- ^ 「恐竜・化石グッズの専門店 ふぉっしるHP」http://www.palaeoshop-fossil.com/news.html#Majungasaurus_20200705 [出典無効]
- ^ Gutherz et al. (2020).
- ^ 『大恐竜展』 (2009), p. 84.
- ^ 「ホッキョクグマの共食い増加、温暖化とガス田開発の影響指摘」『AFPBB News』AFP、2020年2月27日。2021年4月23日閲覧。
- ^ Fandom.
固有名詞の分類
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