マジュンガサウルス マジュンガサウルスの概要

マジュンガサウルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 02:43 UTC 版)

マジュンガサウルス
生息年代: 70.0–65.8 Ma
生態復元想像図英語版
(2007年、ノブ・タムラ英語版筆)
地質時代
中生代白亜紀後期白亜紀マーストリヒチアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : ケラトサウルス下目 Ceratosauria
上科 : †アベリサウルス上科 Abelisauroidea
: アベリサウルス科 Abelisauridae
亜科 : †マジュンガサウルス亜科 Majungasaurinae
: マジュンガサウルス属
Majungasaurus Lavocat, 1955
シノニム
シノニム」節にて詳説。
  • Majungatholus atopus
  • Megalosaurus crenatissimus
和名
マジュンガサウルス

マハジャンガ州の中央部にあるマハジャンガ盆地 (Mahajanga Basin) のマーストリヒチアン堆積層の一つであるマエヴァラーノ累層英語版(70–65.8Ma) より産出している、すなわち、マエヴァラーノ動物相 (Maevarano fauna) に属する絶滅種である。

名称

Majunga-saurus

属名の構成要素である "Majunga" は、本種が、マダガスカルはマジュンガ州州都である "Majungaマジュンガ)" の近くで出土したことに由来する。現地語であるマダガスカル語では "Mahajanga(マハジャンガ、マージャンガ)と読み書きするが、学名に採用されたのはフランス語綴り字である。

"saurus" のほうは、「トカゲ」を意味する古代ギリシア語普通名詞 "σαῦρος(サウロス)" に由来する分類学用新ラテン語名詞接尾辞 "-saurus(サウルス)" [1]であり、「爬虫類」を意味するが、恐竜に用いられることが多いため、「恐竜」と意訳して[1]差し支えない。

なお、マダガスカル語のほうは、同時期の同地域で共存していた(つまり、マエヴァラーノ累層産出の)Mahajangasuchus(マハジャンガスクス。メタスクス類英語版の絶滅種)の学名に採用されている。

crenatissimus

種小名 crenatissimus(クレナティッシムス)は、そのまま、分類学用新ラテン語 "crenatissimus" であり、"very crenate"「際立って円鋸歯状の」を意味するが、その構成要素はいずれもラテン語の "crēnāt(e)" と"-issimus" である。"crēnāt(e)" は "notched, toothed"「状のを有する」を意味する "crēnātus" から来ており、"-issimus" は "most, very much"「最も多くの、非常に多い」を意味する[2]という。ただし、言語的正確性を背負って注記するなら、-issimus は強調の接尾辞であり、それ自体は「多くの」「多い」などといった語意を持たない。

分類

Megalosaurus crenatissimus として1896年に記録された標本
M. crenatissimus の骨格化石標本(手前) / ロイヤルオンタリオ博物館の展示物。
いずれも、化石標本 FMNH PR 2100 / フィールド自然史博物館所蔵。
化石標本 FMNH PR 2836 / フィールド自然史博物館所蔵。ロイヤルオンタリオ博物館における展示。
ネオタイプ(新基準標本)MNHN.MAJ 1 / フランスの国立自然史博物館所蔵。

シノニム

  • Megalosaurus crenatissimus  Depéret, 1896
メガロサウルス・クレナティッシムス
crenatissimus は、フランス地質学者古生物学者シャルル・デペレ (Charles Depéret) によって1896年記載されたが、それは genus Megalosaurus(メガロサウルス属)の1種としてであった。しかし、古生物学が発展により、という高いレベルで別グループに分類すべきものであったことが分かるようになる。1955年、フランスの古生物学者ルネ・ラヴォカ (René Lavocat)crenatissimus 種が genus Megalosaurus とは異なる新属のものであるとし、新属 Majungasaurus(マジュンガサウルス)とその模式Majungasaurus crenatissimus(マジュンガサウルス・クレナティッシムス)を記載した。
マジュンガトルス・アトプス
genus Majungatholus(マジュンガトルス属)はハンス=ディーター・スーズフィリップ・タケによって1979年に記載されていた[3]が、先述のラヴォカが1955年に記載した genus Majungasaurus(マジュンガサウルス属)と同一であることが2000年代に証明された。これにより、MajungatholusMajungasaurusシノニムとなり、無効名となった。atopus 種も認められなかったため、Majungasaurus が模式種のみで構成される属であることに変化は生まれなかった。

類縁関係

マジュンガサウルスは、まだ南半球の中緯度地域(ゴンドワナ大陸アフリカ大陸部の東側にあって現世と大して座標を変えていないマダガスカル部の北東で隣接する地域)に位置していた頃のインド亜大陸で形成されたラメタ累層英語版 (72−66Ma, 70-66Ma) から出土しているラジャサウルスラヒオリサウルス英語版との強い類似性が認められることから(ラジャサウルスとラヒオリサウルスは、アベリサウルス科に分類されるほか、その下位にマジュンガサウルス亜科英語版を設けてマジュンガサウルスと共に納める学説がある。)、そもそも後期白亜紀マダガスカル島はまだ完全に孤島化しておらず、ゴンドワナ大陸のアフリカ大陸部から東側へ分離してゆくことになるマダガスカルとインド亜大陸部はたびたび繋がっていたのではないかという学説が提唱されるようになった[4]

系統分類

以下のクラドグラムは古生物学者ティエリー・トゥルトーザ (Thierry Tortosa) らによる2014年発表の説[5]に基づく。

Majungasaurinae マジュンガサウルス亜科  

Pourcieux abelisaurid プルシュー英語版アベリサウルス類

Arcovenator アルコヴェナトル

Majungasaurus マジュンガサウルス

Indosaurus インドサウルス

Rahiolisaurus ラヒオリサウルス

Rajasaurus ラジャサウルス


注釈

  1. ^ K-Pg境界の時期については諸説あるため、どの説を採るかで本種が絶滅した時期の数値も変わる。有力なのは 66.0Ma(約6600万年前)説と 65.5Ma(約6550万年前)説であるが、本種を産出しているマエヴァラーノ累層の年代は 70-65.8Ma(約7000万年前 - 約6580万年前)とされており、累層の終焉の論拠がK-Pg境界であるため、本項での数値は係る地層の年代に準ずることとする。
  2. ^ つまりは、マエヴァラーノ累層の年代(2021年時点の知見)。

出典

  1. ^ a b -saurus” (English). Online Etymology Dictionary. 2021年5月4日閲覧。
  2. ^ Krause et al. (2007), p. 2, Etymology—From crenatus, Latin, “notched or toothed”, and issimus,“most or very much”; in reference to “the serrations which are extended along the entire length of the two trenchant ridges of the teeth”(Depéret, 1896b:191).
  3. ^ a b c Sues et Taquet (1979).
  4. ^ 『大恐竜展』 (2009), pp. 10、86.
  5. ^ Tortosa et al. (2014).
  6. ^ Grillo et Delcourt (2016).
  7. ^ 「恐竜・化石グッズの専門店 ふぉっしるHP」http://www.palaeoshop-fossil.com/news.html#Majungasaurus_20200705 [出典無効]
  8. ^ Gutherz et al. (2020).
  9. ^ 『大恐竜展』 (2009), p. 84.
  10. ^ ホッキョクグマの共食い増加、温暖化とガス田開発の影響指摘」『AFPBB News』AFP、2020年2月27日。2021年4月23日閲覧。
  11. ^ Fandom.


「マジュンガサウルス」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マジュンガサウルス」の関連用語

マジュンガサウルスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マジュンガサウルスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマジュンガサウルス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS