様相論理
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様相論理(ようそうろんり、英: modal logic)は、いわゆる古典論理の対象でない、様相(modality)と呼ばれる「〜は必然的に真」や「〜は可能である」といった必然性や可能性などを扱う論理である(様相論理は、部分の真理値からは全体の真理値が決定されない内包論理の一種と見ることができる)。
その歴史は古くアリストテレスまで遡ることができる[1]:138が、形式的な扱いは数理論理学以降、非古典論理としてである。
様相論理では一般に、標準的な論理体系に「~は必然的である」ことを意味する必然性演算子
アリストテレスの論理学は大部分がいわゆる三段論法に関わるものであり、古典論理の枠内で扱えるものであるが、有名な De Interpretatione (『命題論』)の海戦問題のように、時間と可能性に関わる発展的な議論も行っている。スコラ哲学では主に本質(essence)と付随的な性質(accident)の区別について、厳密な論理が展開された。中世の思想家の中で、様相論理に関わる重要な仕事をした人物としてはオッカムのウィリアム、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスが挙げられる。
今日の様相論理は、1918年の著書 A Survey of Symbolic Logic のなかで S1–S5 の公理系を導入した C・I・ルイスに始まる[5]。1933年にはクルト・ゲーデルにより、必然性演算子カテゴリ
様相論理(構文論的特徴づけ)
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「共有知識」の記事における「様相論理(構文論的特徴づけ)」の解説
共通認識は、認識論的に解釈される複数の様相演算子をもつ多様相論理の体系において論理学的な定義を与えうる。命題のレベルでは、このような体系は命題論理の拡張となっている。付け加えられるのは、エージェントたちの集団 G と、「エージェント i が知っている」ということを意味するものとする n 個の様相演算子 Ki (i = 1, ..., n) である。したがって Ki φ {\displaystyle \varphi } ( φ {\displaystyle \varphi } はこの論理における式)は、「エージェント i は φ {\displaystyle \varphi } を知っている」と読まれる。「G の全員が知っている」という意味の演算子 EG を、 E G φ ⇔ ⋀ i ∈ G K i φ , {\displaystyle E_{G}\varphi \Leftrightarrow \bigwedge _{i\in G}K_{i}\varphi ,} によって定義することができるだろう。 E G E G n − 1 φ {\displaystyle E_{G}E_{G}^{n-1}\varphi } を E G n φ {\displaystyle E_{G}^{n}\varphi } と書く省略記法を用い、また E G 0 φ = φ {\displaystyle E_{G}^{0}\varphi =\varphi } と約束することによって、共有知識を、 C φ ⇔ ⋀ i = 1 n E n φ , n = 1 , 2 , … {\displaystyle C\varphi \Leftrightarrow \bigwedge _{i=1}^{n}E^{n}\varphi ,\;n=1,2,\ldots } で定義することができる。 しかしここにはまだ問題が残っている。認識論理の言語はふつう有限的 (finitary) であるが、上の定義では共有知識を式の無限個の連言によって定めており、したがってこれはこの言語における論理式になっていない。この問題を克服するため「不動点」(fixed-point) としての共有知識の定義が与えられる。直観的に、共有知識は「方程式」 E G ( φ ∧ C G φ ) {\displaystyle E_{G}(\varphi \wedge C_{G}\varphi )} の不動点とみなせる。こうして、 E G ( ψ ∧ C G φ ) {\displaystyle E_{G}(\psi \wedge C_{G}\varphi )} を含意する式 ψ {\displaystyle \psi } を見つけることができ、そこから極限において、 φ {\displaystyle \varphi } の共有知識を推論することができる。 この「構文論的」な特徴づけには、いわゆる「クリプキ構造」を通して意味論的な内容が与えられる。クリプキ構造は、 状態 (ないし可能世界) の集合 S, S × S 上に定義された n 個の「アクセス可能関係」(accessibility relations) R 1 , … , R n {\displaystyle R_{1},\ldots ,R_{n}} , これは直観的には、任意の所与の状態から、エージェント i が可能であると考える状態を表現する。 各状態において、言語の原子命題のそれぞれに真理値を割りあてる付値関数 π, によって与えられる。知識演算子の意味論は、 K i φ {\displaystyle K_{i}\varphi } が状態 s で真であるのは ( s , t ) ∈ R i {\displaystyle (s,t)\in R_{i}} なるすべての状態 t で φ {\displaystyle \varphi } が真であるとき、またそのときに限る。と定めることで与えられる。すると共有知識演算子の意味論は、まずエージェントの集団 G のそれぞれに対し、その G に属するすべてのエージェント i について Ri の反射的かつ推移的閉包をとり、その 2 項関係を RG と呼ぶことにして、 C G φ {\displaystyle C_{G}\varphi } が状態 s で真であるのは、 ( s , t ) ∈ R G {\displaystyle (s,t)\in R_{G}} なるすべての状態 t で φ {\displaystyle \varphi } が真であるとき、またそのときに限る、と定めることで与えられる。
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