様相論理から哲学へとは? わかりやすく解説

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様相論理から哲学へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 23:26 UTC 版)

可能世界論」の記事における「様相論理から哲学へ」の解説

可能世界」は様々な哲学的探究において中心的な位置占めた中でもデイヴィッド・ルイスとロバート・スタルネイカーによる、近傍可能世界用いた反事実条件文分析は有名である。この分析では、我々が反事実条件文用いてもし...だったとすれば、...だっただろう」と論じるとき、その主張真偽は、その前件満たすような最も現実世界に近い世界において、後件が真かどうかによって決定される。「近い世界」とは、できるだけ多く事実共有している世界ということである。 例えば「2000年アメリカ大統領選挙ブッシュ大統領にならなかったとしたら、ゴア大統領になっていただろう」という文は、次のような主張表現したものだと定式化することができる。「ブッシュ大統領にならなかった可能世界のうち、我々の現実世界最も近い全ての世界において、ゴア大統領になっている」。この解釈に基づけば、もしブッシュ大統領にならなかった現実世界最も近い世界のうち、ゴア大統領になってないよう世界があるとすれば、この反事実条件文によって表現され主張「偽」である、ということになる。 このほかにも可能世界論哲学議論において中心的役割演じている。例え心の哲学における機能主義物理主義をめぐる議論がそれである。また可能世界存在論位置づけについて、デイヴィッド・ルイス様相実在論擁護したことで、論争加熱している。様相実在論は、我々の住んでいる世界の外に可能世界が「実際に存在する」とする議論である。 ルイスは、様相論理機能し可能世界意味論正しいとすれば世界において何が真でなければいけないのか、我々が様相表現解釈において量化している可能世界とはいったい何なのか、を問うた。そして、我々が量化している可能世界とは、この現実世界が「存在する」のと同様の意味で存在している、実在的かつ具体的な世界ほかならないとした。そうした可能世界は、我々の現実世界との間にいかなる空間的時間的因果的関係も持たないという点で現実世界から区別されるにすぎないのであるルイスによれば現実世界持っている特別な性質というのは唯一、関係的なものでしかない。つまり、「我々が」そこに住んでいる、という性質である。即ち「現実に」は、「私」や「今」といった概念同じよう指標的なものにすぎないということになる。 一方、ロバート・アダムズやウィリアム・ライカンは、ルイスによる描像形而上学的に突飛に過ぎるとして拒絶し可能世界を、世界について無矛盾最大限詳細な記述ないし命題集合であるとする。この解釈では、可能世界は「あるあり方をした世界ではなく、「世界そのようありうるようなあり方記述」であることになる。この立場や、アルヴィン・プランティンガやピーター・フォレストによる類似した議論を、ルイスは「代替様相実在論」と呼びそのような立場可能世界意味論御利益を「安く買い叩こうとする」ものであり、究極的に適切な説明失敗する、と反論している。クリプキ著書名指しと必然性』のなかでルイス可能世界意味論使用に対してオープン議論行い可能世界純粋に形式的論理的な存在物とする規約的な見方擁護し可能世界現実存在する世界とする議論や、命題記述集合とみる見方退けている。

※この「様相論理から哲学へ」の解説は、「可能世界論」の解説の一部です。
「様相論理から哲学へ」を含む「可能世界論」の記事については、「可能世界論」の概要を参照ください。

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