様相論理の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 05:07 UTC 版)
アリストテレスの論理学は大部分がいわゆる三段論法に関わるものであり、古典論理の枠内で扱えるものであるが、有名な De Interpretatione (『命題論』)の海戦問題のように、時間と可能性に関わる発展的な議論も行っている。スコラ哲学では主に本質(essence)と付随的な性質(accident)の区別について、厳密な論理が展開された。中世の思想家の中で、様相論理に関わる重要な仕事をした人物としてはオッカムのウィリアム、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスが挙げられる。 今日の様相論理は、1918年の著書 A Survey of Symbolic Logic のなかで S1–S5 の公理系を導入した C・I・ルイスに始まる。1933年にはクルト・ゲーデルにより、必然性演算子□を基準とした方法で S4 が定義された。J・C・C・マッキンゼーは1941年に代数的方法を用いてルイスの S2 と S4 の体系の決定可能性を証明した。 様相論理に対しての意味論は様々な形で考えられてきたが、1963年にソール・クリプキにより提唱されたクリプキ意味論(可能世界意味論とも)は、様々な様相論理の体系に対して完全性定理が成り立つことが示され、様相論理を飛躍的に前進させた。 様相論理から派生した論理体系としては、従来の演算子に代わり、それぞれ過去・未来の到達可能性を示す様相演算子P・Fを導入する時相論理や、従来の様相演算子□、◇にラベル付けを施した動的論理などがある。これらは認知現象の解析や計算機科学への応用など、目的に応じて様々に考案され、適用されている。
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