有限単純群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 05:56 UTC 版)
3を法とした同値類(合同算術を参照)によってできる巡回群 G = Z/3Z は単純群である。H をこの群の部分群とすると、その位数(要素の数)は G の位数(3)の約数である必要がある。3は素数なので、約数は1と3のみである。よって H は G と一致するか、あるいは自明な群である。一方で、群 G = Z/12Z は単純群ではない。それぞれ0,4,8の法12における同値類を要素としてもつ集合Hは位数3の部分群であり、アーベル群の任意の部分群は正規部分群であるため、 H は正規部分群である。同様に、整数の加法群 Z は単純群ではない:偶数全体の集合は自明でない真の部分群であり、したがって正規部分群である。 同じような考察を任意のアーベル群に対して行うと、単純なアーベル群は素数位数の巡回群のみであることがわかる。非アーベル単純群に対する分類はずっと難解である。最小の非アーベル単純群は位数60の交代群 A5であり、任意の位数60の単純群は A5に同型である。二番目に小さい非アーベル単純群は位数168の射影特殊線型群PSL(2,7)であり、任意の位数168の単純群はPSL(2,7)に同型であることが証明できる。
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有限単純群
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詳細は「有限単純群の一覧」および「有限単純群の分類」を参照 有限単純群は、それがすべての有限群の「基本的な構成部品」となっているという意味で重要である。これは素数が整数の基本的な構成部品となっていることに似ている。これはジョルダン・ヘルダーの定理という、与えられた群の任意の二つの組成列は長さが等しく、順序と同型を除いて同じ因子を持つという定理が表現していることである。多くの共同研究によりダニエル・ゴレンスタインは1983年に有限単純群の分類が完成したと宣言したが、いくつかの問題が現れた(特に2004年に解決した、準薄群(英語版)の分類)。 手短に言えば、有限単純群は18の族のいずれかに属するか、26の例外の一つであるかのどちらかに分類される。 Cp – 素数位数の巡回群 An – 交代群( n ≥ 5 {\displaystyle n\geq 5} )交代群は一元体上のリー型の群と考えることもでき、その場合は次の族に分類することもできるので、非アーベル有限単純群の族はすべてリー型の群であるとも見なせる。 リー型の群の16種類の族の一つティッツ群(英語版)は一般的にこの形をしていると考えられる。しかし厳密にいえば、それはリー型の群ではなく、リー型の群の指数2の部分群である。 26種類の例外、散在群の一つ。そのうち20種類はモンスター群の部分群または部分商(英語版)であり、"Happy Family"と呼ばれている。残りの6種類はpariahと呼ばれている。
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