南極星とは? わかりやすく解説

なんきょく‐せい【南極星】

読み方:なんきょくせい

天の南極辺りにある、竜骨座カノープス中国名老人星、または南極老人ともいう。人の寿命つかさどるとされ、この星が現れる天下治まるともいう。


南極星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 06:42 UTC 版)

南極星(なんきょくせい)とは、南側の極星ポールスター)のことで天の南極に最も近い輝星を意味する。自転するあらゆる天体ごとに定義ができるが、ここでは地球における天の南極に最も近い輝星について詳述する。

地球歳差運動のため春分点秋分点黄道に沿って西向きに移動し約2万5800年で一周する。このため、地球の自転軸を南極側に延長した天球面上の天の南極も移動する。この天の南極近くにある星があれば南極星と呼ぶべきだが、21世紀時点で天の南極に完全に重なる地球の輝星は存在しない。また周囲にも、北極星とされるポラリス (こぐま座α星) ほどには、有用な南極星として認識される輝星が存在しない。

このため、大航海時代において船の航行の際の天の南極の天測にはおもにみなみじゅうじ座が使われていた。みなみじゅうじ座α星(視等級1.3等)とみなみじゅうじ座γ星(視等級1.6等)との角距離を、α星に向け約4.5倍すると、だいたい天の南極に到達する。

変遷する南極星

α Hyd
β Hyd
ν Oct
β Oct
σ Oct・
δ Oct
γ Cha
Acrux
β Crux
Miaplacidus
υ Car
ω Car
Aspidiske
Avior
Alsephina
Markeb
γ Vel
Canopus
Achernar
歳差による天の南極の移動。星の位置は現在観測される位置。数字は西暦年を表す。

歳差運動により天の南極が移動するため、南極星の役割を果たす星は年ごとに天の南極に近づいて極値となってから離れていき、他の星との比較によって南極星の役割を交代していく。この変化は人類の有史時代の長さに比べてゆっくりで、およそ2万5800年で元の星に戻り、これを繰り返す。

以下に南極星として交代する星を示す。時期は南極星として見え始める時期ではなく、各星が天の南極に最も近づく時期を示し、下記の時期を中心とした前後数世紀はその星が南極星となる。下記で表した視等級は現在の観測に基づく。

過去の南極星
- 周囲に明るい星がない中で突出して明るい星(全天でシリウスに次いで明るい)であり、天の南極から最も近づいた時期でも約10°のずれがある[1]が、おおよその南を知ることができる。現在の赤緯は約 −52°だが、ポリネシア人たちは環礁を往来するのにおおよその南を知るてがかりとしていた。
- すぐ近くに天の南極からおよそ8°離れた位置にあるエリダヌス座α星アケルナル : Achernar、視等級 0.4等)があり、みずへび座α星の周りを回っていた。
現在の南極星
- 比較的明るい星に附けられるバイエル符号のある恒星のなかで、現在天の南極に最も近い(赤緯 -89°)。このためこの星には南極星を意味するポラリス・アウストラリス (: Polaris Australis) [3]という別名が附けられている。 ただし、暗い星のため肉眼での目視は厳しく、光害など周囲に観測を邪魔する環境がなかったとしても天測に使えるほど明るくない。天の南極ははちぶんぎ座の星域にあるが、この星座で最も明るい星(ν星)でも視等級は3.76等級しかなく、天の南極から13°(満月の直径の26個分)と大きく離れている[4]。さらに周囲を見ても、3等星以上でみずへび座β星(視等級2.8等、天の南極から13°ずれる[5])、2等以上ではりゅうこつ座β星(視等級1.7等、天の南極から20°ずれる[6])などでいずれも南極星としての条件を満たしてない。
未来の南極星[7]
  • 西暦8100年頃 - りゅうこつ座ι星(アスピディスケ : Aspidiske、視等級2.3等)
  • 西暦9200年頃 - ほ座δ星(アルセフィナ : Alsephina、視等級2.0等)
  • 西暦1万1000年頃 - ほ座γ星: γ Vel、視等級1.8等)

以降は次第にカノープスが天の南極に近づき、西暦1万4000年頃に離角10°ほどで天の南極に最接近する(歳差の回帰)。全天で一番明るい星であるおおいぬ座シリウスは、大きな固有運動を持つために天球上を次第に南下していて、西暦6万6270年には赤緯 −88.4°、西暦9万3830年には赤緯 −87.7° にまで南下し、南極星になるのではと予想されている[8]

脚注

出典

  1. ^ Precession”. myweb.tiscali.co.uk (1994年3月1日). 2020年1月21日閲覧。
  2. ^ SIMBAD Astronomical Database”. Results for sigma Octans. SIMBAD, CDS. 2014年12月18日閲覧。
  3. ^ Jim Kaler. “Sigma Octantis”. 2014年12月18日閲覧。
  4. ^ SIMBAD query result”. SIMBAD, CDS. 2014年12月18日閲覧。
  5. ^ SIMBAD Astronomical Database”. Results for Beta Hydri. SIMBAD, CDS. 2014年12月17日閲覧。
  6. ^ SIMBAD Astronomical Database”. Results for NLTT 21307. SIMBAD, CDS. 2014年12月18日閲覧。
  7. ^ Kieron Taylor (1994年3月1日). “Precession”. Sheffield Astronomical Society. 2020年1月21日閲覧。
  8. ^ Bruce McClure. “Sirius, future South Pole Star”. EarthSky. 2020年1月21日閲覧。

関連項目


南極星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:06 UTC 版)

極星」の記事における「南極星」の解説

現在、ポラリスのように有益ないわゆる南極星は存在しないはちぶんぎ座σ星は、天の南極最も近い肉眼見える星であるが、見かけの等級は5.47であり、晴れた夜にかろうじて見え程度であるため、ナビゲーションに使うには適さない地球から294光年離れた位置にある黄色巨星で、天の南極からの角距離は、約1°である。みなみじゅうじ座は、「南に近い」位置指し示し実質的な南極星の役割果たしている。 赤道上では、ポラリスみなみじゅうじ座両方を見ることができる。天の南極は、過去2000年ほど南極示してきたみなみじゅうじ座向かって移動しており、その結果古代ギリシア時代のように北半球亜熱帯地域からは見られなくなった紀元前200年頃には、3等星みずへび座β星が天の南極最も近い明るい星であった紀元前2800年頃には、エリダヌス座1等星アケルナルが、天の南極からわずか8°の位置にあった次の7500年間天の南極は、カメレオン座γ星(4200年頃)、りゅうこつ座I星(HR 4102)、りゅうこつ座ω星(5800年頃)、りゅうこつ座υ星、りゅうこつ座ι星(8100年頃)、ほ座δ星(9200年頃)と移り変わる18世紀から19世紀には、天の南極は、いわゆるニセ十字の中を動いていてた。14000年頃には、カノープス赤緯が-82°となり、つまり南緯8°から北緯8°の間では、毎日上って沈むが、北緯8度線より北では、上らないことを意味する歳差固有運動により、シリウス将来の南極星になる。66270年頃には赤緯88.4°S、93830年頃には87.7°Sとなる。

※この「南極星」の解説は、「極星」の解説の一部です。
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