W・H氏への献辞とは? わかりやすく解説

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W・H氏への献辞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/19 00:22 UTC 版)

ソネット集」の記事における「W・H氏への献辞」の解説

シェイクスピア生きていた時代唯一出版され『ソネット集』1609年の四折版だけで、「W・H氏」に献呈されている。この人物が誰なのかは謎で、多く推測生んでいる。 「T.T.T・T氏)」は出版者のトマス・ソープ(Thomas Thorpe)の略だが、この献辞書いたのがソープシェイクスピアかはわからない大文字ピリオド使われているのは古代ローマの銘に似せることで、永遠性重厚感与えたかったのだろう。シェイクスピアソネット55番の中でこのソネット集石碑や銘のような俗世のものより長持ちする述べている。 ソネット126番は美男子向けられたものであるおおまかに言って、「W・H氏」の特定には2つ方向性があって、1つは「W・H氏」をその若者同一人物考えるもの、もう1つはまった別人考えるものであるW・H氏の候補にあがっている人物には以下の人々がいる。 William Herbert - 3代目ペンブルック伯ウィリアム・ハーバートは、シェイクスピア作品の「ファースト・フォリオ」で献呈されていることから、最有力候補と見なされている。 Wriothesley, Henry - 3代目サウサンプトン伯ヘンリー・リズリーイニシャル逆さましたものサウサンプトン伯シェイクスピアの詩『ヴィーナスとアドーニスならびにルークリース陵辱』を献呈されている。なお、サウサンプトン伯美男子だったことで知られている。 William Harvey - サウサンプトン伯義父サー・ウィリアム・ハーヴェイ。サウサンプトン伯を「美男子」とし、「W・H氏」を別人とする説で、ソネット出版提供したという意味での「生みの親」という理屈William Himself - ウィリアム本人、つまりシェイクスピアドイツ研究家D. Barnstorffの説だが、支持得られていない。 W.S or W.Sh - シェイクスピアイニシャル単純な誤植とする説。バートランド・ラッセル回想録でそれを暗示し、ドナルド・ウェイン・フォスター(Donald Wayne Foster)『Master W.H., R.I.P.』やジョナサン・ベイト(Jonathan Bate)『The Genius of Shakespeare』がそれを支持したベイトは「onlie(唯一の)」を「peerless無比の)」「singular非凡な)」と、「begetter(生みの親)」を「maker作り手)」たとえば「writer作家)」と読むとしている。 William Hall - ウィリアム・ホールは印刷屋で、ソープ出版した他の本を印刷したとされる。この説によれば献辞は単にソープ同業者への敬意でしたことで、シェイクスピアは関係がないことになる。サー・シドニー・リー(Sidney Lee)が『A Life of William Shakespeare』(1898年)で主張しB・Rウォード大佐Colonel B.R. Ward)が『The Mystery of Mr. W.H.』(1923年)で支持した。この説の支持者は、「Mr.W.H.」の直後に「ALL.」が続いて続けると「Mr.W.H. ALL.」になることをその根拠としている。他にも、ソープソネット印刷頼んだジョージ・エルド(George Eld)が出版したロバート・サウスウェル(Robert Southwell)の詩集編集したウィリアム・ホールという説もある。3年前に「WH」と署名したハックニーHackney)のウィリアム・ホールという人物もいるが、それが印刷屋のウィリアム・ホールと同一人物かどうかわからないWilliam Hughes - 18世紀研究者トマス・ティアウィット(Thomas Tyrwhitt)が駄洒落で「W・H氏」ならびに美男子」はウィーリー・ヒューズ(Willie Hughes)なる人物であると言い出し『ソネット集』1790年版でエドモンド・マンロー(Edmond Malone)もこの説を繰り返したオスカー・ワイルド短編W・H氏の肖像』(『アーサー・サヴィル卿の犯罪Lord Arthur Savile's Crime and Other Stories)』に収録)で語り手というよりはむしろワイルドソネットの中の「will」と「hues」の駄洒落から、ソネットシェイクスピア劇で女性の役を演じていたウィリー・ヒューズなる魅力的な若い男優であると主張した。しかし、そのような人物実在したという証拠はどこにもない。 William Haughton - ウィリアム・ホートン(William Haughton)は当時劇作家William Hart - ウィリアム・ハートWilliam Hart)はシェイクスピアの甥で相続人ハート俳優結婚はしなかった。 Who He - 2002年『ソネット集』オックスフォード・シェイクスピア版で、コリン・バロウはこの献辞意図的に不可解曖昧であると主張して当時パンフレット使われていた奇想「Who He(彼は誰)」という説をとっている。バロウは、献辞書いたのはソープで、憶測議論呼び、それで売り上げを延ばすためだったほのめかしている。

※この「W・H氏への献辞」の解説は、「ソネット集」の解説の一部です。
「W・H氏への献辞」を含む「ソネット集」の記事については、「ソネット集」の概要を参照ください。

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