TSL-A船型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 15:07 UTC 版)
「テクノスーパーライナー」の記事における「TSL-A船型」の解説
空気圧力式複合支持船型と呼ばれる、空気浮上型の双胴船である。2つの船体間の空間にディーゼルエンジン駆動のファンによって空気を送り込み、その圧力によって浮上する。推進装置はガスタービンエンジンによるウォータージェット推進。イギリスでは同様のシステムで浮上するフェリーがドーバー海峡に就航していた。実験船「飛翔」の設計・建造は三菱重工業と三井造船(現・三井E&S造船)の共同による。 1995年7月から11月10日にかけて総合試験が行われ、長距離航行の安全性、船体および機関の保守性、荷役の高速化などが評価された。総合試験では国内各地の33港に寄港、コンテナ延べ107個を輸送した。 「飛翔」は静岡県が防災船として購入し「希望」と改称され、1日1往復の清水港 - 下田港を結ぶカーフェリーとしても利用されていた。しかし、原油価格高騰の影響を受け、報道によれば燃費は軽油1リットルあたり8mの燃費が災いして2005年11月に運航停止、2006年3月に廃止となった。2006年4月以降は横浜港に一日当たり10万円で係留され、売却先が決定しない場合は解体されることとなった。 後に静岡県知事の石川嘉延は三菱重工業と結んでいたエンジンのリース契約を解除することで合意、「希望」の廃船が事実上決定した。エンジンリースは途中解除で、違約金が発生した。 その後、売却先を探していたが結局売却先は決定せず、軍事転用の懸念などから静岡県は廃船を決定し、製造元である三菱重工業に随意契約により解体を依頼。解体費用は9億円とされていたが、県は鉄くずなどのスクラップ資源の売却益を差し引いてプラスの収益を得た。三菱重工業は構内での解体を行わずに産業廃棄物処理業者に4,000万円で売却した。ただし、技術流出を防ぐ為に引き受けた解体工事を丸投げした経緯などについては一切の説明を拒否している。
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