NEAC-2201 シリーズ
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「NEAC」の記事における「NEAC-2201 シリーズ」の解説
NEAC-2201は、1957年に完成した通産省工業技術院電気試験所のETL Mark IVの設計を受け継ぎ、日本電気が通信機器で培ったトランジスタ技術を生かして開発された。このシステムは日本電子工業振興協会の計算センターに設置され利用された。また、1959年にパリで開催されたコンピュータの展示会にも出品されたが、実働しているトランジスタを使用したコンピュータは2201だけであったという。 さらに本格的な商用コンピュータを製品化するべく、NEAC-2203の開発が1958年に開始され、翌年5月に1号機が電子工業振興協会に、8月に2号機が東京電力に納入された。2203はその後30台が出荷された。 2201の開発と並行して、山一證券から窓口業務の機械化の相談を受け、オンラインリアルタイムコンピュータ NEAC-2202 の開発が1958年に開始された。これを発展させたNEAC-2204も証券会社などに納入された。 また、1958年にNEAC-2203を利用した近畿日本鉄道の座席予約システムの開発が開始され、1960年4月に稼動開始した。20ヶ所の窓口からの照会/発券/払戻を3秒で行うものである。ただし、このシステムは固定配線式であってプログラマブルではなく、拡張性がなかった。そのため、後の日本航空向けのシステムは汎用コンピュータ NEAC-2230 を利用したものとなった。 以下、トランジスタを利用した初期のコンピュータの仕様の概略を列挙する。 NEAC-2201 (1958年) BCD10桁を1ワードとする固定小数点式。メモリは磁気ドラムメモリで1Kワード。トランジスタ600個使用。 NEAC-2202 (1959年) BCD8桁を1ワードとする固定小数点式。プログラムはプラグボードによるもので、厳密にはプログラム内蔵式ではない。マルチタスク機能(時分割多重方式)を導入。 NEAC-2203 (1959年) BCD12桁を1ワードとする固定/浮動小数点式。メモリは磁気コアメモリの240ワードと磁気ドラムメモリの2Kワード。トランジスタ2600本使用。 NEAC-2204 (1961年) BCD12桁+符号(1ビット)を1ワードとする固定小数点式。メモリは磁気コアの200ワードと磁気ドラムの3000ワード。 NEAC-2205 (1961年) NEAC-2203を基に小型化・低廉化を図った。メモリは磁気ドラムの3000ワード。この後継機が1962年に完成したNEAC-2101で、これがミニコンピュータの開発に繋がってゆく。 NEAC-2206 (1962年) 当時国内で最大の大型機(記憶容量「1万語」)。NEAC-2203の後継機として開発され、1962年2月27日発表、3月に1号機が北海道大学に納入された。 NEAC-2230 (1962年) 中型機。NEAC-2203の後継機で、NEAC-2206で開発された技術を採用しながらNEAC-2203の命令コードを踏襲している。メモリは2400ワードの磁気コアメモリで、10000ワードの磁気ドラムを最大3台まで接続できる。
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