Helium-3とは? わかりやすく解説

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ヘリウム3

読み方:ヘリウムさんヘリウムスリー
英語:Helium-3

ヘリウムの同位体一つで、2つ陽子1つ中性子を含む安定同位体ヘリウムの同位体の中で最も多いヘリウム4よりも、中性子の数が1つ少ない。

地球の大気中に含まれるヘリウム3の量は、ヘリウム4100万分の1程度である。そのため、自然界からは十分な量のヘリウム3を得ることができず、リチウム6対す中性子照射により人工的につくられたものが用いられている。ヘリウム3は研究機関において、実験機器冷却利用されるほか、中性子検出器でも用いられている。中性子検出器は、核兵器によるテロを防ぐ目的で、主に空港や港などに配備されている機器である。また、将来的には、ヘリウム3と重水素の「D-3He反応」を用いて核融合を行うことが検討されており、理論的に放射性廃棄物をほとんど出さずに、膨大なエネルギー効率よく得ることができるといわれている。

ヘリウム3は近年入手が困難になっており、価格2000年代数年間で20倍以上も高騰し、1キログラムあたりの値段10億円超えるまでになった。それは、水素爆弾製造の際の副産物として生じるヘリウム3の供給量が、冷戦後核軍縮伴って減少したことが主な理由である。2013年現在、ヘリウム3の不足により、米国ではテロ対策重要な中性子検出器十分に配備することができない状況であり、ヘリウム3の供給減少に対して危機感持たれている。また、核融合実現という観点からも、ヘリウム3の供給手段開発望まれている。

ヘリウム3は、太陽から噴出する太陽風微量含まれていることから、太陽風長期間晒されてきた小惑星などには、地球上比べて桁違いの量のヘリウム3が蓄積していることが知られている。ヘリウム3の採掘対象として、月が最も有望視されている。アメリカ航空宇宙局NASA)が公表している構想中には月面基地核融合炉建設し採掘したヘリウム3をその場エネルギー変換するというものもある。

関連サイト
Energy from the Moon - NASA

ヘリウム3

(Helium-3 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/16 04:45 UTC 版)

ヘリウム3
ヘリウム3
概要
名称、記号 ヘリウム3,3He
中性子 1
陽子 2
核種情報
天然存在比 0.000137%(地球大気)
半減期 安定
同位体質量 3.0160293191(26) [1] u
スピン角運動量 1/2+
余剰エネルギー 14931.21475± 0.00242 keV
結合エネルギー 2572.681± 0.001 keV

ヘリウム3(ヘリウムさん、: helium-3)は、ヘリウムの同位体の一つである。

ヘリウム3(3He)の原子核は、陽子2個と中性子1個からなり、通常のヘリウム原子(4He)より軽い安定同位体である。ヘリウム3は核融合のD-D反応、陽子-陽子連鎖反応の際に発生する。また三重水素娘核種であり、3Hのベータ崩壊により生成する。

存在

ヘリウム3は地球の大気中ではヘリウム4の100万分の1しか存在しない。しかしながら太陽大気中には0.0142%の同位体比で存在し[2]面にも地球上よりはるかに多く存在する[3][4]。このため月面の岩石からヘリウム3の採掘を試みる研究も行われている。これは太陽大気中には宇宙の初期においてビッグバン原子核合成の結果生成したヘリウム3が蓄積しているものであるが、地球大気では地球創成期に存在していたヘリウムがほとんど宇宙空間に逸散し、現在の地球大気中に存在するヘリウムは大部分が岩石中のトリウムおよびウランなどのアルファ崩壊の結果、生じたものであるためである。一方、月面においては太陽風から供給されるヘリウム3が蓄積している。

1995年惑星探査機ガリレオ木星大気に測定用プローブを突入させ、大気を質量分析計で測定した結果3Heと4Heの比率は約1:10,000であった[5]

人工合成

ヘリウム3は地球上において存在量が稀少であるため、リチウム6 (6Li)に陽子ビームを照射することによる人工合成が検討されたが、反応断面積が小さいため有利な反応といえるものではなかった[6]



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