GIMINIシステム
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「ビデオカセッティ・ロック」の記事における「GIMINIシステム」の解説
CPUを採用したカセット交換式のゲーム機が市場に登場しつつあった1977年から1978年にかけての当時、GI社はハード・ソフト一体型のゲーム機用のLSIのラインナップとは別に、カセット交換型のゲーム機向けのシステム「GIMINIシステム」を開発し、それを各メーカーに外販していた。例として、1978年1月に刊行されたGI社の販促用のカタログ「GIMINI TV GAME CIRCUITS」では、回路図全体を含めたハード・ソフト一体型ゲーム機用システムの詳細、カートリッジ式ゲーム機の「GIMINIシステム」の詳細の他、これらのLSIを使ってゲーム機を製造する際の、開発者自身による細かい注意点までも親切に記されており、これを参照することで、技術の乏しいメーカーどころか、秋葉原などで売られていたLSIを使って素人がゲーム機を自作することすら可能だった(1978年当時、秋葉原ではAY-3-8xxxを使ったゲーム機の自作キットが販売されていた。そのような自作ブームの火付け役として知られる若松通商では、2016年時点でもAY-3-8xxxが入手可能)。 GIMINIシステムの初出はGIの1977年度のカタログで、「CASSETTE PROGRAMMABLE TV GAMES」として記載されている。だが、当時の時点では「GIMINI Chip」とされるCPUの「CP1610」をメインチップとして採用したシステム1機種のみで、音源チップ(後世に「PSG音源」と呼ばれる「AY-3-8910」)すら搭載されていなかった。採用ゲーム機も確認されていない。 1978年度のゼネラル・インスツルメント社のカタログでは、「PROGRAMMABLE TV GAMES」として3種類のGIMINIシステムが載っており、この時点までにはGEMINIシステムは完成を見ていたようだ。その一つが、従来のハード・ソフト一体型のゲーム機向けのLSIを転用してカセット交換式のゲーム機を制作できる、GIMINIシステムの下位版の「GIMINI 8600」で、 LSI式なのでもはや「PROGRAMMABLE」ではないが、一応「PROGRAMMABLE TV GAMES」として記載されている。安価であることからカタログでは「エコノミック」を標榜していた。GIMINI 8600のリファレンスによると、本体に搭載されたチップは、RFモジュレータの「astec um1082」、カラー情報生成用チップの「AY-3-8615」、サウンド用ステレオアンプの「LM386」の3つのみで、かなり単純な回路であり、カラー機能やサウンド機能が不要な場合はさらに省いて安くできる。「タカトク ビデオカセッティ・ロック」、「バンダイTV Jack アドオン5000」、および諸外国で発売された「PC-50Xシリーズ(仮称)」は、このGIMINI 8600システムを採用している。 「GIMINI 8600」以外は、CPUの「CP1610」および音源の「AY-3-8910」などを採用した上位版(カタログでは「デラックス」版と呼称)の「GIMINI 8900」、上位版からスプライト機能など若干機能が省かれた(カタログでは「チャレンジャー」版と呼称)「GIMINI 8950」が存在した。「GIMINI 8600」を採用したメーカーは世界中に非常に多かったが、本体にLSIを3つしか搭載しない「GIMINI 8600」に対して、「GIMINI 8900」はCPUや音源だけでなくROMやRAMを複数搭載するなどかなり技術的に高度かつ高価になるため、これを採用したゲーム機は、マテル社のインテレビジョン(1979年)のみだった。「GIMINI 8950」を採用したゲーム機は確認されていない。 そもそもLSI式のゲーム機は1978年の時点でも、CPU式のゲーム機に対して「安価であること」のみが売りだったが、アメリカでは1980年にはAtari VCSが大ブームとなり、もはやいくら価格が安くてもLSIなどと言う時代ではなくなった。GIMINIシステム自体の展開は1970年代で終了し、インテレビジョンの販売も芳しくなかったが、このうち音源の「AY-3-8910」に関しては「PROGRAMMABLE TV GAMES」の「SOUND GENERATOR」、すなわちPSG音源として、このチップそのもの・あるいは互換チップのYAMAHA YM2149などが、1980年代から1990年代に至るまで様々なゲーム機・パソコン・楽器で広く使われた。2010年代に至ってもチップチューンやレトロゲーム配信サービス、レトロ風の新作ゲームなどを介して根強い人気を持っており、ある意味でGIMINIシステムの命脈は今でも生きている。
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