Colossus の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 08:26 UTC 版)
「Colossus」の記事における「Colossus の開発」の解説
トミー・フラワーズは英国中央郵便本局研究所で Colossus の設計・製作に11カ月(1943年2月から12月)を費やした。1943年12月の機能試験の後、分解してブレッチリー・パークに移送され、試験運用が開始されたのが1944年1月18日である。ブレッチリー・パークでの組み立ては Harry Fensom と Don Horwood が行った。そして 1944年2月5日から Colossus は暗号解読士らに使用された。 Mark I に続いて 9台の Colossus Mark II が1944年6月以降、順次使用された。最初の Mark I は後に Mark II に改造されている。終戦時には11台めの Colossus が組み立てをほぼ完了した状態であった。Colossus Mark I は1500本の真空管を使用している。Colossus Mark II は2400本の真空管を使用しており、Mark I の5倍の性能で操作も改善されていた。Mark II の設計は Mark I の製作と並行して行われた。トミー・フラワーズは他のプロジェクトに異動となったため、Allen Coombs が Mark II のプロジェクト責任者となった。比較すると、他の初期のコンピュータ Manchester Mark I (1949) は 4200本、ENIAC (1946) は 17468本の真空管を使用している。 Colossus は電子的に歯車パターンを生成することで第二の紙テープを不要とし、一秒間に5000文字を処理することができた(紙テープの速度では毎秒12.2m)。回路の同期は紙テープのスプロケットホールによって生成されるクロック信号で行われた。従って計算速度はテープリーダーの機構によって制限されている。トミー・フラワーズは限界速度を試験し、最高で毎秒9700文字の処理速度を記録した。彼は、その試験を元に通常の運用にふさわしい速度として毎秒5000文字に設定した。場合によっては複数台の Colossus を使って今で言う並列計算のような使い方をすることもあり、約2倍の性能を発揮した。 Colossus には世界初のシフトレジスタとシストリックアレイ(英語版)が使われている。さん孔テープ上の5チャネルに対応して、最大100回の論理演算から構成されるテストを5つ並行して実施できる(ただし、通常 1回の走行では1本か2本のチャネルだけを調べた)。 当初 Colossus は与えられたメッセージの最初の歯車の位置をつきとめるために使われた(「歯車の設定」)が、Mark II はピンのパターンをつきとめる(「歯車のパターン解読」)のを助けるための機構が含まれていた。どちらの機種もスイッチ群とプラグ盤を使ってプログラム可能であり、これは Heath Robinson には無い機能である。
※この「Colossus の開発」の解説は、「Colossus」の解説の一部です。
「Colossus の開発」を含む「Colossus」の記事については、「Colossus」の概要を参照ください。
- Colossus の開発のページへのリンク