CDW伝導の量子的モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/04 10:06 UTC 版)
「電荷密度波」の記事における「CDW伝導の量子的モデル」の解説
初期の量子的モデルには、真木和美によるソリトン対生成モデルや、凝縮されたCDW電子がパイエルスギャップではなく kF に固定された小さいピン止めギャップをコヒーレントにトンネルするというバーディーンの提案などがある。しかし真木の説ではシャープなしきい電場を説明できず、バーディーンの説はしきい電場に対し現象論的な解釈を与えるにとどまった。そのさなか、KriveとRozhavskyは1985年の論文において、電荷 ±q を持つソリトンと反ソリトンが対生成すると q / ε に比例する内部電場 E* が発生することを指摘した。静電エネルギー 1/2 ε (E ± E*)2 があることにより、しきい電場 ET = E* / 2 以下の印加電圧においてはソリトンはエネルギー保存則を破らずにトンネルすることができない。このクーロンブロッケードしきい電場は古典的なデピニング電場よりはるかに小さく、CDWの分極率と誘電応答 ε がピン止め強さに反比例するため不純物密度と同じスケール性を持つ 。 上記の描像ならびに時間相関を持ったソリトントンネリングについての論文(2000年)を背景に、より新しい量子的モデルが唱えられた。それによると、多数の平行分子鎖上に荷電ソリトン転位のドロップレット[訳語疑問点]が核生成し、それらの複素秩序パラメータの間にジョセフソン的なカップリングが成立する。『ファインマン物理学』III-21にならうと、秩序パラメータの時間発展はシュレディンガー方程式を創発的な古典論的方程式として書き直したもの[訳語疑問点] で記述される。狭帯域ノイズ関連の現象は帯電エネルギーの周期的な充放電に起因するためポテンシャルの詳細な形状には依存しない。以上のモデルからソリトン対生成のしきい電場ならびにより強い古典的デピニング電場の両者が導かれる。アンダーソンの論じるところでは、このモデルはCDWをネバネバした量子液体もしくは転位を含む量子固体として扱うものである。
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