ソリトンとは? わかりやすく解説

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ソリトン【soliton】

読み方:そりとん

粒子のようにふるまう孤立した波、すなわち空間的に局在する非線形波動伝播(でんぱ)するときにも波形速度変えず、また互いに衝突しても形を変えず通り抜ける性質をもつ。1965年米国N=J=ザブスキーとM=D=クルスカルが発見し命名した


ソリトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/02 01:45 UTC 版)

ソリトン波の再現例

ソリトン: soliton)は、おおまかにいって非線形方程式に従う孤立波で、次の条件を満たす安定したパルス状の波動のことである。

  1. 伝播している孤立波の形状、速度などが不変。(粒子の「慣性の法則」に相当する)
  2. 上の条件を満たす波同士が衝突した後でも、お互い安定に存在する。衝突する波は二つより多くてもよい。(波の個別性の保持、衝突前後の運動量保存

この2条件より、この孤立波は粒子性(粒子としての性質)を持つ。この呼び名の由来は、1965年米国の N. Zabusky と M. Kruskal が、KdV方程式 [注 1]数値解析から、上の2条件を満たす孤立波を発見し、粒子性をあらわす接尾語-onを使ってそれをソリトンと名付けたことによる。因みに、本来は solitary wave(-on) からソリトロン(: solitron)と名付けるはずだったが、既に商標(会社名)として使われていたのでソリトンと名付けた。

現象

物理現象としての孤立波は、1834年にJ・スコット・ラッセルによって初めて報告された。ラッセルはエジンバラ郊外の運河で馬にひかれていたボートが急にとまったとき、船首に水の高まりができ、そこから孤立波が生じ、時速8–9マイル(時速13–14キロメートル程度)の速度でほとんど波形を変えずに伝播していくのを偶然目撃し、1マイル以上馬で追跡しながら観察した。その後、彼は水槽をつくり、波高の大きい波ほど、伝播速度は速いなどの孤立波の性質を報告している。

理論の発展

ソリトンが現れる系をソリトン系といい、ソリトン系の従う発展方程式をソリトン方程式という。すなわち、ソリトン方程式はソリトン解をもつ。ソリトン方程式の代表的なものに、KdV方程式KP[注 2]方程式サインゴルドン (sine-Gordon) 方程式非線型Schrödinger方程式戸田格子方程式箱玉系のセルオートマトンなどがある。特にKdV方程式はソリトン研究において常に端緒を開く役割を果たしてきた。ソリトン研究の初期段階においては新たなソリトン方程式が次々と発見され、発見者の名前が付けられていったが、1981年の佐藤理論の完成により、ソリトン方程式は無限に存在することが示されたのでそのようなこともなくなった。ソリトン方程式を解く手法には逆散乱法英語版広田の方法双線形化法)などがある。ソリトンは、流体力学分野だけでなく、物性物理微分幾何学場の量子論など多方面で応用されている。

ソリトン方程式

以下、主なソリトン方程式を挙げる。但し、位置座標を x, y, 時間座標を t とした。また、方程式の係数のとり方はいくつか存在する。

KdV方程式
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外部リンク


ソリトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:09 UTC 版)

グロス=ピタエフスキー方程式」の記事における「ソリトン」の解説

ボース=アインシュタイン凝縮体中では、ボソン間の相互作用引力であるか斥力であるかによって、後述する明るいソリトン (bright soliton) と暗いソリトン (dark soliton) のいずれか一次元ソリトンが形成され得る。いずれのソリトンも一様な系における局所的な凝縮体の擾乱理解されるボソン間に斥力相互作用が働く、結合定数が正 (g > 0) である場合グロス=ピタエフスキー方程式特殊解として次のものが得られる。 ψ ( x ) = ψ 0 tanh ⁡ ( x 2 ξ ) . {\displaystyle \psi (x)=\psi _{0}\tanh \left({\frac {x}{{\sqrt {2}}\xi }}\right)\,.} ここで ψ0 は無限遠での凝縮体の波動関数の値を表し、 ξ = ℏ / 2 m n 0 g {\displaystyle \textstyle \xi =\hbar /{\sqrt {2mn_{0}g}}} はコヒーレント長を表す。上記の解の波動関数凝縮体の暗いソリトン対応する暗いソリトン実現する系では凝縮体の密度分布一様ではなく原点密度ゼロとなる。暗いソリトン位相欠陥一種であり、ψ の符号原点反転することによって位相に π だけずれが生じる。結合定数が負 (g < 0) である、ボソン間に引力相互作用が働く状況では、ボース=アインシュタイン凝縮体の波動関数は以下のようになる。 ψ ( x , t ) = ψ ( 0 ) e − i μ t / ℏ 1 cosh ⁡ [ 2 m | μ | / ℏ 2 x ] {\displaystyle \psi (x,t)=\psi (0)e^{-i\mu t/\hbar }{\frac {1}{\cosh \left[{\sqrt {2m\vert \mu \vert /\hbar ^{2}}}x\right]}}} ここで μ = .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1/2g|ψ0|2 は化学ポテンシャルである。上記波動関数明るいソリトン対応する明るいソリトン実現する系では凝縮体の分布原点集中する

※この「ソリトン」の解説は、「グロス=ピタエフスキー方程式」の解説の一部です。
「ソリトン」を含む「グロス=ピタエフスキー方程式」の記事については、「グロス=ピタエフスキー方程式」の概要を参照ください。

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