優しい終身の独裁者
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 03:04 UTC 版)
優しい終身の独裁者(やさしいしゅうしんのどくさいしゃ、Benevolent Dictator For Life、省略形BDFL、より直訳的には「慈悲深き終身の独裁官」)とは、オープンソースソフトウェア開発プロジェクトの少数のリーダーに与えられる称号である。一般的には、コミュニティ内で論議、論争が発生した際に最終的な仲裁を行う権利を持つプロジェクト創設者であることが多い。独裁者という言葉から勘違いされることがあるが、あくまで論争が発生したときに仲裁を行うのであって、ソフトウェアの仕様の最終決定者のことではなく、ソフトウェアの権利を独占している者のことでもない。
この用語は1995年に誕生し、Pythonプログラミング言語作者のグイド・ヴァンロッサムを指していた[1][2]。ヴァンロッサムは、CNRIに雇用されて間もなく、Python開発とワークショップの監督を行う準公式グループを設立することを企画するミーティングについて電子メールでやり取りを行っていた。その電子メールに返信したケン・マンハイマーのメールにこの用語が登場する[1]。
BDFLは、オープンソースのリーダーに対するより良く知られた用語、「優しい独裁者(benevolent dictator)」[3]と混同すべきではない。こちらはエリック・レイモンドのエッセイ、「ノウアスフィアの開墾」で普及した[4]。ハッカー文化にまつわる話題のひとつとして、レイモンドは、いかにして、オープンソースの性質のせいで「独裁制」というものが慈悲深くなければならないのかを詳しく調べている。なぜなら、意見が完全に違ってしまえば、新しいリーダーがプロジェクトをフォークすることにつながるからである。
優しい終身の独裁者と時折見なされる人物の例
- グイド・ヴァンロッサム、Python作者[5][6]
- リーナス・トーバルズ、Linux作者[7]
- ラリー・ウォール、Perl創始者
- パトリック・フォルカーディング、Slackware作者[8]
- ファビオ・エルクリアーニ、Sabayon Linux作者[9]
- マーティン・ドージャマス、Moodle作者
- マーク・シャトルワースは自分自身を「自ら任命した優しい終身の独裁者」("Self-Appointed Benevolent Dictator For Life"、省略形SABDFL)と呼んでいる。そして、Ubuntuコミュニティでは、しばしば彼を指してこの名称を使う[10][11][12]。
- Djangoのエイドリアン・ホロヴァティとジェイコブ・カプラン=モス(Jacob Kaplan-Moss)[13][14]
- ドリース・ボイタールト(アントウェルペン出身)、Drupalプロジェクトの創設者兼リーダー[15][16]
- ライアン・ダール(Ryan Dahl)、Node.jsの作者[17]
- スティーブ・コースト、オープン・ストリート・マップの創設者[18]
- トニー・ロッケ(Tony Locke)、Chellow作者 [要出典]
- ラスマス・ラードフ、PHP作者[19]
- まつもとゆきひろ(Matz)、Ruby作者[20]
- テオ・デ・ラート、OpenBSD創設者[要出典]
- リッチ・ヒッキー(Rich Hickey)、Clojure作者[21]
- トン・ローセンダール、Blender作者[要出典]
- ジミー・ウェールズ、ウィキペディア創設者[22]
- マット・マレンウェッグ、WordPress創設者[23]
脚注
- ^ a b Guido van Rossum (2008年7月31日). “Origin of BDFL”. 2008年8月1日閲覧。
- ^ “Python Creator Scripts Inside Google”. eWeek (2006年3月6日). 2008年5月13日閲覧。
- ^ こちらはオープンソースに限らず政治用語としても一般的に使われており、例えば、開発独裁を主導したシンガポールの首相、リー・クアンユーなども慈悲深き独裁者と呼ばれる。
- ^ Eric S. Raymond. “Homesteading the Noosphere”. 2008年8月1日閲覧。
- ^ Timothy Prickett Morgan (2006年4月17日). “The Four Hundred--Next Up on the System i: Python”. www.itjungle.com. 2008年5月13日閲覧。
- ^ Guido van Rossum “Benevolent dictator for life”. Linux Format. (2005年2月1日). オリジナルの2006年10月1日時点におけるアーカイブ。 2007年11月1日閲覧。
- ^ Ingo, Henrik (2006). “Benevolent dictator”. Open Life: The Philosophy of Open Source. ISBN 978-1-84728-611-6 2011年3月5日閲覧。
- ^ “Slackware's "About" page”. 2011年4月29日閲覧。
- ^ “Sabayon Website”. 2011年9月29日閲覧。
- ^ “About Ubuntu: Governance”. Canonical Ltd. 2011年3月5日閲覧。
- ^ Ryan Paul. “Ubuntu founder defuses rumors of impending Microsoft deal”. Ars Technica. 2008年5月13日閲覧。
- ^ “フリーソフトウェア/オープンソースに最も貢献した10人”. OSDN Magazine (2009年4月20日). 2011年4月29日閲覧。
- ^ “Django committers”. 2011年4月29日閲覧。
- ^ Clint Ecker. “Ars at DjangoCon: Day one round-up”. Ars Technica. 2008年9月9日閲覧。
- ^ “Dries set to be married!” (2005年6月28日). 2011年4月29日閲覧。
- ^ “Urban Dictionary: BDFL”. 2011年4月29日閲覧。
- ^ “Proposed Node v2 API Specification Draft”. 2011年4月29日閲覧。
- ^ “BDFL and moderation”. opengeodata.org. 2010年8月11日閲覧。
- ^ Marneweck, Jacques (2006年2月28日). “Jacques Marneweck's Blog: Rasmus's no-framework PHP MVC framework”. Powertrip.co.za. 2012年11月20日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2011年6月1日閲覧。
- ^ Yukihiro, Matsumoto (2013年6月19日). “ちゅうごく産業創造センター 会報No.97 2013.6.14 P42”. ciicz.jp. 2013年6月19日閲覧。
- ^ “Clojure - Workflow”. clojure.org. 2020年3月20日閲覧。
- ^ Chozick, Amy (2013年6月27日). “Jimmy Wales Is Not an Internet Billionaire”. ニューヨーク・タイムズ. 2014年2月27日閲覧。
- ^ “Thesis, Automattic, and WordPress | Post Status”. 2015年7月24日閲覧。
「Benevolent Dictator for Life」の例文・使い方・用例・文例
- 5 月15 日の午前8 時30 分から午後3 時まで、Oceanview公園で開催される、毎年恒例のWalk for Petsについてのお知らせです。
- イベントによる収益金の半分は、捨てられたペットのための保護施設であるHome for Petsに使われ、残りはさまざまな動物福祉団体に分配されます。
- 年次監査を行うために、Bradford and Partnersの会計士たちが10 月10 日の午前10 時に当社を訪ねてくる予定です。
- Bradfordの新人会計士2 名が今年の監査を担当すると連絡がありました。
- こんにちは、Bradfordさん。
- 昨日Bradfordさんが受け取られたデスクランプについてお電話を差し上げています。
- 取り違えてしまって申し訳ありませんが、あのランプは別のお客様に送られるはずのもので、誤ってBradfordさんに配送されました。
- Bradfordさんが受け取るはずだった商品は、Anne Keeganさんからの贈り物のご注文でした。
- タックマンモデルとは、チームビルディングにおける5段階、すなわち形成(Forming)、混乱(Storming)、統一(Norming)、機能(Performing)、散会(Adjourning)を示すモデルである。
- 着手する; 〔…の〕端緒を開く 〔for〕.
- 紺 《Oxford 大学およびその選手の色標》.
- 〔音楽会などへの〕優待券, 招待券 〔to, for〕.
- 等位接続詞 《and, but, or, for など; ⇔subordinate conjunction》.
- 【文法】 相関語 《either と or, the former と the latter など》.
- [for a] holiday to [in] France last year. 昨年は休暇をとってフランスへ旅行した.
- (最も奥の), foremost (真っ先の).
- 新大学, 1960 年以降に創設された大学, 板ガラス大学 《Oxford, Cambridge のような石造りの ancient universities, 19 世紀に創設された London 大学のような赤れんが造りの redbrick universities に対して言う; 建築様式がふんだんに plate glass を使ってモダンなことから》.
- コンセプション岬 《California 州にある》.
- être for this policy? この政策はどんな存在理由があるのか.
- から Oxford へ通ずる)オックスフォード街道.
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