ならたけもどき (楢茸擬き)
●わが国の本州以南、四国・九州をはじめ北半球の温帯地域に広く分布しています。夏から秋にかけて、広葉樹林の倒木や樹木の根際に多数が束生します。傘は直径4~6センチで茶褐色をしています。傘の中央部には小鱗片が密生します。「ナラタケ」に似ていますが、柄につばがつかないのが特徴です。
●キシメジ科ナラタケ属のキノコ類で、学名は Armillaria tabescens。英名は Friendship mushroom。
サクラ類ならたけもどき病
和名:サクラ類ならたけもどき病 |
学名:(病原菌)ナラタケモドキArmillaria tabescens (SCOPOLI:FRIES) EMEL. |
分布:本州・四国・九州 |
写真(上):ナラタケモドキ子実体 |
写真(下):ナラタケモドキの寄生を受けて衰弱したサクラ |
説明 ナラタケモドキはナラタケ属のきのこであり,数種の樹木にナラタケ同様の根腐病を起こす。寄主としてサクラ・モモ・クリなどの広葉樹の他,スギ・コウヨウザンなど針葉樹も知られている。根や地際部から感染し,樹皮下に白い扇状菌糸膜を形成し,寄主を枯死させる。地上部は萎凋症状を示す(写真1)。培地上では根状菌糸束を盛んに形成するが,感染樹木上ではあまり観察されない。感染部の表面にオレンジ色の根状菌糸束が観察されることもある。子実体は7〜8月に感染樹木上や周囲の地上に生ずる(写真2)。子実体にはつばがない。ナラタケ同様,無葉緑ランであるオニノヤガラ(Gastrodia elata BULUME)の菌根を形成する。 |
ナラタケモドキ
ナラタケモドキ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Armillaria tabescens | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ナラタケモドキ(楢茸擬) |
ナラタケモドキ(楢茸擬、Armillaria tabescens)は林に群生する茶色のキノコ。食用であるが、過食すると中毒をおこす。
分布
北半球の平地の広葉樹林に分布し、日本国内では北日本で多く産出する[1]。
形態
傘径は4~6cm[1]。傘は、黄褐色~茶褐色で、中央部に細鱗片を密生し、長い条線があり、表面は繊維状[2]。初めは丸山のよう(半球型)でのちに平(皿型)に開き、最後にそり返る(漏斗状)[3]。傘の裏のひだは白色で垂生、やや密であり、ひだに次第に淡黄褐色のしみができる[1]。胞子は広楕円形[4]。
柄は5~8cm。柄は傘とほぼ同色で[1]、つばはなく他のナラタケ属と区別可能。柄の上部は淡黄色で下部は暗褐色であり[3]、繊維状で上部に条線があり肉が詰まっている。つぼはない[1]。
生態
夏~秋に子実体が発生し[1]、広葉樹林の枯れ木、切り株、立木の根元に、束生~群生する[3]。木材腐朽菌[1]。
名称
以下のような地方名がある。
利用
肉はもろく、白色~薄橙色で、無味無臭、柄は繊維質[2]であり、ほんのり甘いきのこ臭があるうえ、味もよいので、食用としている地域もある[3]。歯切れはよいが、あまりだしが出ない。酢の物、煮込み、雑炊、鍋物、佃煮、煮込み、ピクルス、マリネ、グラタン、ピザ、グラタン、オムレツ、スープ、油炒め、あんかけなどの料理にきわめてよく合い、お吸い物、和え物、ピラフ、ギョウザ、シュウマイ、みそ焼きなどでも合う[4]。ナラタケより味は落ちる。消化不良を起こし胃腸系の中毒を起こすため食べ過ぎには注意が必要である[1]。熱を十分通し、多量に食べないことが大事である。抗腫瘍性多糖、アルミラリシンなどの化合物を含むが、毒成分となっているかは不明である[3]。また、ナラタケモドキと定義される菌の中には中毒を起こすタイプとそうでないタイプが存在する可能性がある[2]。
脚注
- Armillaria tabescensのページへのリンク