9.11後の対策強化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:32 UTC 版)
「ハイジャック」の記事における「9.11後の対策強化」の解説
これまでのハイジャック事件では犯人と仲間が生き延びることを前提としていたが、9.11事件においてハイジャッカーは最初から自爆を目的としていた。このことは、ハイジャック対策の考え方を根本から揺るがした。 この事件を受けて、アメリカではテロ対策の大幅な強化が図られた。まず同年10月には異例の速さで米国愛国者法が成立した。この法律は電話の盗聴やインターネット通信記録の押収など規制当局の権限を大幅に拡大するものであり、経済の自由やプライバシーを侵害するという反対意見が出され議論となった。続いて11月には、航空および運輸安全法(英語版)が発効した。この法律は、運輸保安庁の設置や空港における手荷物検査体制の強化、航空機の操縦室のドアの強化、航空保安官の警乗などについて定めている。 9.11事件の際にアメリカでは、運輸省管理下の沿岸警備隊、財務省管轄のシークレットサービス、司法省所属のアメリカ合衆国国境警備隊(英語版)などの機関の連携がとれず批判の対象となったため、これら関係機関を統合した国土安全保障省が新設された。2002年に行われた国土安全保障省の設立は、1947年のアメリカ国防総省設立以来の最大の組織改編とも言われる。 ICAOにおいても航空保安の強化について議論され、2002年7月に新しい国際ルールが適用された。新しいルールには操縦室ドアを強化する安全基準や航空保安官の警乗、空港内の立ち入り規制などが含まれ、さらにこれらの国際標準を国内線にも適用することが求められるようになった。 2010年には、最近のテロ防止関連条約に共通に取り入れられている規定をモントリオール条約やヘーグ条約に導入するため、ICAOにより「国際民間航空についての不法な行為の防止に関する条約」(北京条約)および「航空機の不法な奪取の防止に関する条約の追加議定書」(北京議定書)が作成された。 ASNの統計によると、軍用機やプライベート機を除くハイジャックの発生件数は、2003年以降は年間10件未満で推移している。
※この「9.11後の対策強化」の解説は、「ハイジャック」の解説の一部です。
「9.11後の対策強化」を含む「ハイジャック」の記事については、「ハイジャック」の概要を参照ください。
- 9.11後の対策強化のページへのリンク