300SLRとウーレンハウトクーペ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 15:28 UTC 版)
「ルドルフ・ウーレンハウト」の記事における「300SLRとウーレンハウトクーペ」の解説
詳細は「メルセデス・ベンツ・300SLR」を参照 1954年のW196(W196R)をベースに、2座席のレース用スポーツカー仕様に再設計して、1955年に完成させたのがメルセデス・ベンツ・300SLR(W196S)である。 300SLRは元々はクーペ仕様(屋根付き)となることが予定されていて、実際に制作されたが、ドライバーからの反対意見があり、実戦で使用された車両は全てオープン仕様(屋根なし)となった。 1955年のスポーツカー世界選手権(全6戦)に第3戦から参戦し、ル・マン24時間レースを除く3戦を全て優勝(かつ1-2フィニッシュ)し、シリーズチャンピオン争いでも全戦に参戦したフェラーリを僅差で振り切り、メルセデスにチャンピオンシップタイトルをもたらした。 1955年に、ウーレンハウトが設計した車両はF1でもスポーツカー世界選手権でも結果を残したが、この年のル・マン24時間レースで起きた、観客83名とメルセデスドライバーのピエール・ルヴェーが死亡したモータースポーツ史上最悪の大事故により、ダイムラー・ベンツは1955年限りでレース活動を休止することを決めた。 1955年のこの決定以降、ウーレンハウトにレースカーを設計する機会が訪れることはなかった。 300SLR ウーレンハウトクーペ。写真の車両ではマフラー(消音器)は撤去されている。同じウーレンハウトの設計になるW198(300SL)とは、ガルウィングドアを備える、名前が似ているなどの共通点があるが、設計上は全く関連がない。 レース活動の休止後、ウーレンハウトは300SLRクーペ仕様の内の1台(7号車)を公道仕様に改造した。この車はあくまでダイムラー・ベンツ所有の車両だが、ウーレンハウト自身がパーソナルカーとして使用したことから、ウーレンハウトクーペとして知られることとなる。レース用プロトタイプ車両から転用しているため、当然のことながら、当時としては最速の公道車両で、静粛性のため巨大なマフラーが付けられてなお最高速は時速290kmは出たとされ、ウーレンハウトがミュンヘンからシュトゥットガルトまでを走った際も、その距離(今日の道路で240㎞弱)をおよそ1時間で走ったとされる。 この“ウーレンハウトクーペ”はその後はシュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館(英語版)の所蔵品となっている。
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