2014年ロシアによるクリミア占領
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「ブダペスト覚書」の記事における「2014年ロシアによるクリミア占領」の解説
詳細は「2014年クリミア危機」を参照 2014年2月、ロシア軍はクリミア内のさまざまな空港や他の戦略的地点を奪取または封鎖した。軍部隊はクリミアに駐留するロシアの黒海艦隊より派遣され、ブダペスト覚書に違反してロシアの土地とした。ロシア外務省は、クリミアにいる黒海艦隊に派遣された装甲部隊の動きを確認したが、彼らは両国間の様々な合意の範囲内で行動していると主張した。別のロシア公式筋は、特にセヴァストポリ国際空港地域にいる部隊が黒海艦隊から派遣されたことを否定している。ロシアは、クリミアがロシア連邦に加わるべきかどうかについての国民投票を支持して対処。ロシアはその国民投票が「現地軍隊」によって実施されたと発表した。3月16日に、ロシアはクリミアを併合した。ウクライナは、ブダペスト覚書の第1条に違反するとして、この行動に強く抗議した。 この危機への対応として、ウクライナ議会は政治的合意の中に明記された誓約指針を再確認するよう覚書署名国に要請し、そのうえで緊張緩和のためにウクライナとの協議を行うよう依頼した。 一時的占領地および国内避難民省(ウクライナ語: Міністерство з питань тимчасово окупованих територій та внутрішньо переміщених осіб України)は2016年4月20日に正式に設立されたウクライナの政府省庁で、2014年のロシア軍事介入によって侵されたドネツク、ルハーンシク、クリミアの占領地域を管理するために創設されたものである。 2014年3月24日、ハーグでの核セキュリティ・サミット期間中の臨時会合で、カナダの首相スティーヴン・ハーパーがロシアの資格を一時停止するため残りのG7首脳たちを導いており、部分的にロシアがブダペスト覚書に違反したからだと、ハーパーは(その理由を)述べた。彼は、ウクライナが「その領有権についての明確なロシアの保証に基づいて」核兵器を放棄しており、「その保証に違反することで、プーチン大統領が一連の武力行使について、既に取り決められた以上(の領土・権利)を要求しない他国からの非難を受けるのも当然のことだ」と語った。ハーパーはまた、自由貿易協定に向けて新ウクライナ政府と協力すると述べ、ウクライナ支持を表明した(ただしハーパーは翌2015年10月の連邦議会選挙で敗北、保守党党首を辞任している)。 2016年2月、セルゲイ・ラブロフは「ロシアは決してブダペスト覚書に違反していない。覚書にある唯一の義務は、核兵器でウクライナを攻撃しないということだ」と主張した。しかし、カナダ人ジャーナリストのマイケル・カルバーンは「実際はブダペスト覚書には6つの義務があり、その最初の項目が「ウクライナの独立と主権と既存の国境を尊重すること」である」と指摘した。カルバーンはまた、英国にあるロシア大使館のTwitterアカウント上でのラブロフの主張の放送が、実際に「ロシアが明白に違反しているものを含む、全6つの義務があるブダペスト覚書の文章へのリンクを提供していた。そこで誰もが見られるようになっている」とも指摘した。 ブダペスト覚書の草案作成に携わった米国の外交官スティーブン・パイファー(英語版)は「グーグルの事実確認で30秒以内にデタラメだと判別できることを外務大臣が語るのなら、ロシア外交の不誠実と国際的意見に対する侮辱に関して何か言うことはあるのだろうか?」と後に語った。
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