1857年のトライアル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:31 UTC 版)
「ウィットワース銃」の記事における「1857年のトライアル」の解説
ウィットワース銃は、1857年4月、イギリスのハイスにてエンフィールド銃との比較で初めてテストされた。500ヤード(457メートル)、800ヤード(731メートル)、1,100ヤード(1,005メートル)、1,400ヤード(1,280メートル)、1,800ヤード(1,645メートル)先まで射撃され、二丁のライフルの各距離における性能指数が計測された。 この比較テストで、ウィットワース銃はエンフィールド銃の射撃性能を遥かに凌駕し、非常に高い精度を叩き出した。以下の表は、5つの距離においてのエンフィールド銃とウィットワース銃の角度、性能指数を記したものである。 ウィットワース銃とエンフィールド銃の各距離における角度と性能指数武器の名前距離銃の角度性能指数備考エンフィールド銃 500ヤード 1度32分 2.24フィート(0.68メートル) ウィットワース銃 500ヤード 1度15分 0.37フィート(0.11メートル) エンフィールド銃 800ヤード 2度45分 4.20フィート(1.28メートル) ウイットワース銃 800ヤード 2度22分 1.00フィート(0.3メートル) エンフィールド銃 1,100ヤード 4度12分 8.00フィート(2.44メートル) ウィットワース銃 1,100ヤード 3度8分 2.62フィート(0.8メートル) エンフィールド銃 1,400ヤード なし なし 射撃はとても荒々しく、記録は取られなかった。 ウイットワース銃 1,400ヤード 5度 4.62フィート(1.41メートル) エンフィールド銃 1,800ヤード なし なし 射撃されなかった。 ウィットワース銃 1,800ヤード 6度40分 11.62フィート(3.54メートル) このウィットワース銃の非常に高い精度は、銃身が小口径であることだけで無く、ライフリングのねじれがエンフィールド銃のそれよりもとても速い事から実現された。エンフィールド銃のライフリングのねじれが1回転78インチなのに対し、ホイットワース銃は一回転20インチと、とても高速である。 ライフリングのねじれが速ければ速いほど、ライフリングが弾丸に与える回転力はより強くなり、回転力が強い弾丸は、より遠い距離において回転の勢いを無くすことなく飛翔するため、狙った所にかなり命中しやすくなった。 ウィットワース銃は、貫通力においてもエンフィールド銃を圧倒した。ウィットワース弾は2分の1インチ(1.27センチ)の厚さの木の板を33枚貫通したのに対し、エンフィールド弾は13枚しか貫通できなかった。 しかし、このテストでエンフィールド銃は軍用の弾薬包を装填していたのに対し、ウィットワース銃は特殊な火薬をフラスコで装填していた事から、この比較テストが公平なものでないとされ、ウィットワース銃の評価から割引きされた。 このテストでは満足のいく結果を得られなかったため、このテストの後、下士官とエンフィールド銃の開発を行なった人々、そしてホイットワースを含めた委員会が設立され、18ヶ月にも渡って議論を行なったものの、1859年には、ウィットワース銃が軍用兵器としては小口径すぎる事が政府へと報告された。
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