前距離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 09:47 UTC 版)
前距離 (premetric) は距離の公理のほとんどを仮定から外したものになっていて、前距離函数は d(x, y) ≥ 0 d(x, x) = 0 の二つを満足することのみが要求される。これを前距離と呼ぶのは標準的な語法というわけではなく、「前距離」が別の一般化された距離、例えば擬半距離を指したり、擬距離を指したりする場合もある。ロシア語の本の翻訳では(premetric でなく)"prametric" となっているものもある。 前距離 d から以下のようにして位相が定められる。正の実数 r を取り、中心 p の r-開球体を Br(p) = {x | d(x, p) < r} で定め、集合 S が開であるというのを S に属する各点 p に対して、中心 p の適当な r に対する r-開球体で、S に含まれるようなものが取れることと定義する(一般に、r-開球体自身はこの位相に関して開であるとは限らない。実は r-開球体の内部が空となることが起こりうる)。こうして任意の前距離空間が位相空間となり、実は列型空間になる。 距離に対すると同様に、二つの集合 A, B 間の距離を d(A, B) = infx∊A, y∊B d(x, y) で定めると、これは前距離空間の冪集合上の前距離になる。同じことを(擬半)-距離空間に対して行えば、得られるものは擬半距離(即ち対称的な前距離)になる。また任意の前距離から cl(A) = {x | d(x, A) = 0} として前閉包作用素 (preclosure operator) cl が生じる。
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