1741年提案の寸法規定
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「1719年の寸法規定」の記事における「1741年提案の寸法規定」の解説
ジェンキンスの耳戦争が始まるとイギリス軍艦の実情が明らかになった。1740年4月にスペインの70門艦プリンセッサを捕獲した際、イギリスの70門艦ケント、レノックス、オーフォードは6時間に渡る戦闘でプリンセッサのトップマスト1つを破壊したに過ぎなかった。プリンセッサの船体は当時のイギリス90門艦と同規模であり、イギリス70門艦に比べて安定性が高かった。加えて船体構造が堅固だったために長時間の砲撃に耐えることが出来たのである。敵海軍に対する個艦の劣勢が明白となったため、イギリス海軍は採用されていなかった砲規定の改良案を実施して火力の向上に努めた。強力な砲を装備するためには艦体も大型化する必要があり、艦艇監督官ジェイコブ卿は新たな寸法規定を提案した。この提案では従来の艦種区分を変更しており、例えば70門艦は大口径砲搭載のために64門艦に改装されることとなった。この規定に従って建造された1等艦は存在しないが、74門艦と66門艦は少数が建造された。 この戦争のもう1つの影響として、「再建造」制度の崩壊が挙げられる。ジェンキンスの耳戦争以前は議会を通さずに新造艦を手に入れるために軍艦の定期的な再建造を行っていたが、実際には元の艦から再使用される木材は極僅かであった。一部では再建造が行われる何年も前に艦が解体されたにも関わらず、書類上は現役艦であり続けるというような事例すらあったのである。再建造は手間のかかる工程であり、全くの新造より時間も経費もかかった。それゆえ、戦時に再建造のために乾ドックを長期間占有するのは非生産的だと考えられるようになったのである。西インド海域に派遣される艦艇にはフナクイムシ対策の被覆を施す必要があり、他にもさまざまな修繕が要求されたため必然的に再建造の優先度は低下した。その結果老朽艦の船体は倉庫として使用されるようになり、まだ耐久性の残っている艦を解体して新調するといった無駄はなされなくなったのである。既に起工されていたものを除けば1739年以降に再建造はほとんど行われておらず、1742年には全く行われなくなった。
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