分布するのは、本州中部で海抜高が1000~2000メートルの地域です。最近では、北海道、東北地方、本州中部の寒冷地帯の造林樹種として注目されるようになり、その造林面積が増加してきました。スギ、ヒノキのように、全国的に知られているものとは違い、現在でもどちらかといえば、産地周辺の地域で利用される量が多いのではないでしょうか。日本に産する針葉樹のうち唯一の落葉樹です。カラマツはその樹形が美しく、柔らかい感じがありますが、木材の方はどちらかというと重硬で荒々しい感じがします。 ■木材 心材の色は褐色ですが、若い間は比較的淡色で、大木になると濃色になります。辺材は黄白色です。木理は一般に通直でないことが多いのです。春から夏へかけて形づくられる細胞の形の違いが大きいため、年輪がはっきりとわかり、したがって肌目は粗くなっています。木材には“やに”っぽい臭いがあり、一つの特徴といえます。軸方向細胞間道(樹脂道)をもっていて、“やに”が材面に滲み出て来ます。気乾比重は0.40~0.50(平均値)~0.60で、重硬な針葉樹材の一つです。どちらかといえば、利用の際取扱いにくい木材といえます。とくに、若い造林木からの木材は乾燥の際、割れや狂いが出易く、利用する上での大きな問題となっていて、現在多くの研究機関がその解決に努力しています。老齢になって成長がおそくなったようなカラマツは“天カラ”と呼ばれ、造林した若齢木と対照的に高く評価され、銘木として高い値段で取引されます。心材の保存性は中庸ですが、水中での耐久性が高いので、杭丸太として多く利用されます。 ■用途 建築(主として表面に出ない部材)、杭、土木用タンネージ、パレット、家具などに、用いられます。 |