非常用復水器 IC (Reactor Core Isolation Cooling Condenser)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 17:06 UTC 版)
「非常用炉心冷却装置」の記事における「非常用復水器 IC (Reactor Core Isolation Cooling Condenser)」の解説
非常用復水器は、残留熱を大気に逃がす炉心冷却装置で、他のシステムに依存することなく、単独で圧力容器を冷却する。 圧力容器からの蒸気を純水のプール中に通した配管によって冷却凝縮し水にして再び圧力容器に重力で戻す装置で、初期の沸騰水型軽水炉(BWR2型、BWR3型の一部)に実装されている。 非常用復水器の純水プールには、水の蒸発減少に対応し純水タンクから給水する装置が備えられている他に、緊急時には外部から水を供給する装置もあり、そのためのディーゼル駆動の消火ポンプを装備している。 この装置は圧力容器からの熱移動先が大気であり、またポンプを使わず弁操作だけで自然循環するため信頼性が高い装置であるが、大型の重量物であり建物のスペースをとるため、改良型の原子炉では次第に装備されなくなった。IC内の純水が摂氏100度に達すると沸騰が始まり純水が失われると共に効率が劇的に低下するので外部からの純水の補給が必要となる。また水-ジルコニウム反応により原子炉内に発生した水素が配管に入り込むと自然循環の効率が低下する欠点がある。 このようにICの効果には時間的な限界があり、早期に残留熱除去のための注水や冷却、ベントなどの外部からの作業が始まるまでの効果を持たせることが前提の装置である。 福島第一原発の一号機には、大型の非常用復水器が2系統実装されていたが、全電源喪失と非常時の装置の操作についての理解が乏しいことで弁の制御が十分に行われず効果的に利用されなかった。なお、非常用復水器は前述の原子炉隔離時冷却系を装備する二号機、三号機、四号機には装備されていない。
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