電源と論理レベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 07:13 UTC 版)
「エミッタ結合論理」の記事における「電源と論理レベル」の解説
ECL回路は一般に負の電源電圧を必要とし(正の電源端子が接地される)、電源の負の端子が接地される他の論理素子とは対照的である。これは電源供給の変化の影響を低減するためであり、ECLは VCC のノイズに敏感で VEE のノイズには比較的強い。接地された線がシステム内で最も電圧が安定するため、ECLは正の側を接地するよう指定されている。このようにすると、電源電圧が変化してもコレクタ抵抗での電圧降下は少ししか変化しない(エミッタの定電流源の場合は全く変化しない)。コレクタ抵抗は直接接地されているので、出力電圧も少ししか変化しない(あるいは全く変化しない)。電源の負の側を接地すると、コレクタ抵抗は電源の正の側に接続されることになる。コレクタ抵抗による電圧降下はその場合もほとんど変化しないので、出力電圧は電源電圧の変化に伴って変化し、2つの回路部品が定電流レベルシフタとして振る舞うことになる。この場合、R1-R2の分圧回路が電圧変動をある程度補償する。正の電源には、高い定電圧(+3.9V)を背景として出力電圧がわずかに(±0.4V)変動するというもう1つ欠点がある。負の電源電圧を使うもう1つの理由として、出力と接地の間で回路が短絡する故障が発生したときに出力トランジスタを守るという面もある(しかし、負の電源電圧であっても出力そのものは短絡から保護されない)。 供給電圧は補償用ダイオード D1 と D2 に十分な電流が流れるよう設定し、同時に共通エミッタ抵抗 RE の電圧降下が適切な値になるよう設定する。 一般に出回っている ECL 回路は論理レベルも他の論理素子とは異なる。従って、他の TTL などと ECL を結合するには、インタフェース回路が必要となる。ECL では High レベルと Low レベルの差が他の素子よりも小さく、ノイズマージンが小さい。 IBMは、自社製の ECL を自社製品に使っており、その電源規格は一般市場に出回っているものとは定格が異なる PECL (Positive Emitter-Coupled Logic) は-5Vではなく5Vの正の電圧供給を受けるよう新たに開発された。LVPECL (Low-Voltage Positive Emitter-Coupled Logic) は電源電圧を3.3Vに下げて電力消費を抑えたPECLである。PECLとLVPECLは差動信号システムであり、主に高速な回路やクロック分配回路に使われている。 論理レベル: 種類 Vee Vlow Vhigh Vcc PECL GND 3.4 V 4.2 V 5.0 V LVPECL GND 1.6 V 2.4 V 3.3 V 2.0 V
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