除名と除籍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:22 UTC 版)
党組織は、規約第4条に定める党員の資格を明白に失った党員、あるいは著しく反社会的な行為によって、党への信頼をそこなった党員は、調査・審査のうえで、除籍することができる(第11条)。除籍にあたっては、本人と協議することが原則だが、党組織の努力にもかかわらず協議が不可能な場合は、行わなくてもよいとされる。伊里一智は東京大学大学院在学時、日本共産党中央委員会議長を務めていた宮本顕治の辞任を要求したが志位和夫の働きによって第11条によって除名された。 なお後述の「10条該当党員」になった者は、支部からの離党勧告に応じない場合、除籍措置を行うことがある。1994年(平成6年)の第20回党大会で規約が改正される前は、10条該当党員の整理は一律除籍となっていた。また1980年(昭和55年)以前は、活動に参加しなくなってから6ヶ月が経過した時点で協議なしに除籍することも可能だった。 詳細は「10条該当党員#離党手続き」を参照 除籍は、基本的に一級上の指導機関の承認を受ける。なお、除籍された人が再入党を希望するときは、支部・地区委員会で審議し、都道府県委員会が決定する。ただし、中央委員会や党大会をもってしても覆せないこともある。 除籍は単なる党員資格喪失者の党籍を抹消することであって、規律違反者を対象とした「処分」とは別の措置である。しかしながら除籍は、最も重い処分である「除名」と、党員を党から除くという点で同じ効果をもつ。また、除籍は規約と綱領を明白に否定する立場に立った党員も射程に入れることもあり、両者は混同されやすい。この問題は理論部門担当の副委員長浜野忠夫も指摘しており、実際に論文の中で両者を区別して使うように注意を促したことがある。「処分」の場合は、中央委員会および党大会にまで上訴することができる(後述)が、除籍の場合はそれが認められていない。中央委員会が党大会で決定するまでもないとの理由で事実上除名に準じる形の除籍措置を行った場合は、党大会で執行部側の提案により新たな決定をしなければ覆すことができない。
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