長期債務の処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 15:22 UTC 版)
国鉄終焉当時、処理すべき債務として37.1兆円が残っていた。このうち国鉄清算事業団に25.5兆円が引き継がれ、残り11.6兆円が東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、日本貨物鉄道(JR貨物)、新幹線保有機構の負担とされた。国鉄清算事業団は(使われなくなった広大な貨物ヤードなど)旧国鉄財産のうちでJRに移管されなかった資産の売却等で負債を減らす予定であった。しかし当時バブル景気時代で地価の高騰が甚だしく、「広大な土地の売却はバブルをあおる」として売却を凍結されてしまい債務の削減が思うように進展しなかった。その後1998年に国鉄清算事業団は解散し債務は一旦鉄道建設公団へ移管された後、2003年に債務23.2兆円が鉄道建設・運輸施設整備支援機構(略称 建設設備機構)に引き継がれた。この長期債務の返済には今まで通り税金が充当される。 旧国鉄に係る一般会計承継債務の実質的な償還進捗状況年度(1)承継債務残高計(2)承継債務換国債残高(3)残高総計(1)+(2)実質的な債務償還進捗率(%)((1)-(3)/25兆円)旧日本国有鉄道借入金旧日本国有鉄道清算事業団借入金旧日本国有鉄道清算事業団債券250,308S62.3.31承継50,599 H3.3.29承継9,372 H10.10.22承継67,588 H10.3.31承継30,035 H10.10.22承継92,714 1990 50,599 9,078 59,677 59,677 1991 49,461 8,472 57,933 57,933 1992 48,863 8,167 57,030 57,030 1993 48,863 8,167 57,030 57,030 1994 48,863 8,167 57,030 57,030 1995 48,863 8,167 57,030 57,030 1996 47,275 7,560 54,835 54,835 1997 45,577 6,954 30,035 82,566 82,566 1998 43,574 6,256 35,231 30,035 30,632 145,728 94,369 240,097 4.1 1999 41,180 5,438 8,400 30,035 28,527 113,580 133,621 247,201 1.2 2000 38,370 4,498 30,035 25,068 97,971 137,351 235,322 6.0 2001 35,191 3,467 30,035 24,065 92,758 141,307 234,065 6.5 2002 31,858 2,436 30,035 22,057 86,386 145,148 231,534 7.5 2003 28,549 1,496 19,133 20,053 69,231 159,447 228,678 8.6 2004 25,327 677 7,917 16,046 49,967 172,961 222,928 10.9 2005 22,199 163 1,172 11,044 34,578 183,915 218,493 12.7 2006 19,093 86 5,028 24,207 189,835 214,042 14.5 #単位は億円、2006年度は予定額。 一方、利用客が少なく赤字が見込まれる北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)には、発足時から日本国有鉄道改革法にて資金補填が設定されている。すなわち民営化時の37.1兆円の債務の中に経営安定基金1.3兆円を設定し、この基金の運用益を上記旅客3社の赤字補填に使うこととした。
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