鈴木六林男とは? わかりやすく解説

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鈴木六林男

鈴木六林男の俳句

「冬の貨車は重い」機關士夜を徹す
「吹操銀座」晝荒涼と重量過ぎ
善意も惡」のたそがれ防雪林黄ばみ
あとからあとから月の出寒い波頭
いつまで在る機械の中のかがやく椅子
うつむく顔ばかり濡れ田に鋤ひかり
かなしきかな性病院の煙出
わが死後の乗換駅の潦
ビヤホール明るし拳銃を磨く
ボスに對う意志の黒靴足裏濡れ
マラソン通過痰ぬらぬらと操短地區
不眠の朝牡丹の赤芽法華の鼓
二人して何もつくらず昼寝覚
五月の夜未来ある身の髪匂う
冬來る北國汽車に尻向け何を獲る
冷氣の谷間遠き日射しへ愛語つゞく
凶作の夜ふたりになればひとり匂う
千の手の一つを真似る月明かり
友の妻子を衞る冬旅濡れ田つゞき
叡智の刻濡れ田夜となる北の國
右の眼に左翼左の眼に右翼
墓標かなし青鉛筆をなめて書く
天上も淋しからんに燕子花
失語して石階にあり鳥渡る
奇術師や野分の夜は家にいて
女吹かれ黒煙突から飢えはじまる
寒い日の保線の怒聲靜臥守る
寒光の万のレールを渡り勤む
寒鯉や見られてしまい発狂す
山拓く少しの晴間を農婦かゞみ
岩壁に聲さだかなる夜の蟬
思惟の船腹突堤汚れだぶつく午後
我等に未來假眠より起き歩き居る
戦争が通つたあとの牡丹雪
把り凍て飛び降りるにも翼なし
操車場の西資本の巨塔ビール釀す
放射能雨むしろ明るし雜草と雀
旅の疲れの夕ぐれ貫く嬰兒の聲
昨日につゞく死の雨の夜工場暮し
暗い平野仕事の聲で僚確かめ
暗い汽罐車防塵眼鏡の顔つき出し
暗闇の眼玉濡らさず泳ぐなり
暮しの中の波音烏賊の白乾され
月の出や死んだ者らと死者を待つ
未見の海へ急ぐ眼つむり悴みて
栃木にいたうれしい酒焼日焼顔
梅雨の雀走り貯炭の泥廣場
梅雨ビルの何處かで拍手僕等ひそか
樹や岩や女ら眠り夜の瀧
水あれば飲み敵あれば射ち戦死せり
 

鈴木六林男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/13 01:29 UTC 版)

鈴木 六林男
誕生 鈴木 次郎
1919年9月28日
日本大阪府泉北郡山滝村(現岸和田市
死没 (2004-12-12) 2004年12月12日(85歳没)
大阪府泉大津市
職業 俳人
言語 日本語
国籍 日本
最終学歴 山口高等商業学校(現山口大学)中退
活動期間 1949年2008年
ジャンル 俳句
文学活動 新興俳句運動
代表作 「遺品あり岩波文庫「阿部一族」」
主な受賞歴 現代俳句協会賞(1957年)
蛇笏賞(1995年)
現代俳句大賞(2002年)
勲四等瑞宝章(2001年)
デビュー作 『荒天』
所属花曜」創刊・主宰
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鈴木 六林男(すずき むりお、1919年9月28日 - 2004年12月12日)は、俳人。本名・次郎。

山口高等商業学校(現・山口大学)中退。初学時代は「串柿」に投句し、永田耕衣、加藤滋の選を受ける。学生時代に同人誌「螺線」を創刊、「蠍座」「京大俳句」「自鳴鐘」に関わり西東三鬼に師事、新興俳句運動に参加した。

1940年応召、中国大陸フィリピン諸島を転々とし、1942年、バターン・コレヒドール戦での負傷により帰還、退院後に除隊。戦後に商業学校にもどり中退。「青天」「雷光」「夜盗派」「梟」「」「頂点」などに関わり、社会性俳句の中心作家として注目を受ける。1971年、「花曜」を創刊・主宰。季を無季の地続きにあるものとして捉え、戦後も戦争句・無季句を詠み続けた。代表句に「遺品あり岩波文庫「阿部一族」」(1949年作)など。

1957年第6回現代俳句協会賞、1995年第29回蛇笏賞(句集『雨の時代』により)、2002年第2回現代俳句大賞受賞。また2001年に勲四等瑞宝章を受ける。1984年から1990年まで大阪芸術大学教授。2004年12月12日肝不全のため大阪府泉大津市で死去。85歳没。戒名は禅林院鶴翁杜若居士。2005年3月、「花曜」は解散。「花曜」の同人・会員は、「六曜」「やまぐに」「光芒」「香天」「花象」「洛曜」などの雑誌を創刊し、活動を継続している。

著作

  • 第一句集『荒天』 雷光同人会、1949年
    • 『定本荒天』 ウエップ〈ウエップ俳句新書〉、2004年
  • 第二句集『谷間の旗』 風発行所、1955年
  • 第三句集『第三突堤』 風発行所、1957年
  • 第四句集『櫻島』 アド・ライフ社、1975年
  • 第五句集『国境』 湯川書房、1977年
  • 『鈴木六林男全句集』(未刊第六句集『王国』含む) 牧神社、1978年
  • 新訂・俳句シリーズ・人と作品13『西東三鬼』 桜楓社、1979年
  • 第七句集『後座』 現代俳句協会、1981年
  • 評論集『定住游学』 永田書房、1982年
  • 第八句集『悪霊』 角川書店、1985年
  • 第九句集『雨の時代』 東京四季出版、1994年
  • 『脚註名句シリーズ・西東三鬼集』 俳人協会、1994年
  • 第十句集『一九九九年九月』 東京四季出版、1999年
  • 『鈴木六林男句集』 芸林書房〈芸林21世紀文庫〉、2002年
  • 『鈴木六林男全句集』 草子舎、2008年

参考文献

  • 堀本吟 「鈴木六林男」 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年、50頁
  • 久保純男 「鈴木六林男」 『現代俳句大事典』普及版、三省堂、2008年、301-302頁

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