鈴木八郎とは? わかりやすく解説

鈴木八郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/21 06:07 UTC 版)

鈴木 八郎(すずき はちろう、1900年3月3日 - 1985年9月14日[1])は、日本の写真家。写真雑誌編集者、カメラ文化史研究者。

経歴

北海道余市町に生まれた[2]。早稲田工手学校(現早稲田大学芸術学校)建築科を中退する[2]。東京にあった丸木利陽門下の前島英男の写真館に入門して、前島の義弟の金丸重嶺と同門になった。また『写真の趣味』『写真月報』を編集していた高桑勝男の紹介で、小野隆太郎に住込みで弟子入りし、ゴム印画法を習得した。その後大正から昭和にかけて、アルスより技法書を多数執筆した。戦前の『カメラクラブ』や戦後復刊の『写真サロン』編集長を務めた。ペンタックスギャラリー館長。古典カメラやカメラの歴史に関する記事を多く執筆した。戦前に安井仲治と往復書簡を交わしていたことが死後、遺族より発見された。

年表

  • 1916年(大正5年) - 早稲田工手学校建築科入学[2]。後に中退[2]し、前島写真館、小野隆太郎スタジオなどで写真を修める。
  • 1921年(大正10年) - 北原鉄雄の出版社アルスに入社し、高桑勝男、南実中島謙吉のもと『カメラ(CAMERA)』『芸術写真研究』の編集に「写真研究部員」として携わった。
  • 1924年(大正13年) - 「表現社写真会」を斉藤鵠児(玄光社刊『写真サロン』月例写真選者)、魚住励らと結成する。同年、宇高久敬、南実と「東京商業写真研究会」を結成する。
  • 1926年(大正15年) - 金丸重嶺と日本初のコマーシャル写真スタジオ「金鈴社」を設立する。
  • 1931年(昭和6年) - アルスを退社し、コダック・ジャパン・リミテッドに入社して、企業誌『コダック知識』『スタジオライト』編集に携わる。
  • 1936年(昭和11年) - アルスに復帰し、編集長として大衆写真雑誌『カメラクラブ』創刊。
  • 1938年(昭和13年) - アルスより写真集『わが庭を写す』を刊行した。
  • 1939年(昭和14年) - 金丸重嶺が日本大学芸術学部写真学科(江古田)を創設し、2年間、鈴木も教鞭をとった。
  • 1941年(昭和16年) - 雑誌統合令のあと石津良介編集長『写真文化』の顧問のひとりになった。
  • 1943年(昭和18年) - 興亜写真報国会理事。
  • 1951年(昭和26年) - 復刊『写真サロン』(玄光社)の編集長になった。
  • 1953年(昭和28年) - 月刊誌『カメラハンドブック』を出版した(1956年まで)。
  • 1958年(昭和33年) - 旭光学商事株式会社に入社し、宣伝部長に。TVのCMで電通賞を受賞。その後サービスセンター所長を歴任。
  • 1968年(昭和43年) - 編集長として『ペンタックスファミリー』創刊。ペンタックスギャラリー館長となった。
  • 1971年(昭和46年) - 日本写真協会より功労賞を受賞した[2]
  • 1974年(昭和49年) - 『カメラ毎日』の連載「メカニズムよもやま話」をまとめ『カメラ文化史』(東京書房)として出版した。
  • 1975年(昭和50年) - 写真文化の向上に尽くした功績により勲五等瑞宝章を受章した[2]

個展

  • 1934年 - 『雪と山の写真展』小西六本店
  • 1969年 - 『カメラ散歩・宮城周辺』ペンタックスギャラリー
  • 1993年 - 『鈴木八郎作品展 身辺描写』JCIIフォトサロン
  • 2009年 - 『鈴木八郎のまなざし ─オリジナルプリント』展 JCIIフォトサロン

著作

1924年以来1976年までに写真書著作が41冊と多数ある[2]

  • 『写真の失敗とその原因』アルス、1924年
  • 金丸重嶺共著『商業写真術』アルス 1931年
  • 『アルス大衆写真講座 第1〜10巻』アルス、1937年〜1939年
  • 『わが庭を写す 作画の実際』アルス、1938年
  • 『カメラ文化史』東京書房、1974年[2]
  • 監修執筆『写真の開祖上野彦馬-写真にみる幕末・明治』産業能率短期大学(現自由が丘産能短期大学)出版部、1975年[2]
  • 『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』朝日ソノラマ 1976年
  • 秋谷方共著『現代カメラ新書No.29、愛されるベス単』朝日ソノラマ 1977年
  • 『発明の歴史カメラ』発明協会 1980年
  • 『鈴木八郎写真集』日本カメラ社、1988年 ISBN 978-4-817-92011-9
  • 分担執筆『日本カメラの歴史』毎日新聞社[2]

出典

  1. ^ 『「現代物故者事典」総索引(昭和元年〜平成23年) II 学術・文芸・芸術篇』(日外アソシエーツ、2012年)p.587
  2. ^ a b c d e f g h i j 『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』カバー。

参考文献

  • アサヒカメラ編『木村伊兵衛 対談・写真この50年』(朝日新聞社 1975年)所収「6 鈴木八郎 写真を大衆化したアルス」
  • 『鈴木八郎写真集』(発行者:野崎康彦、発行所:ニホンカメラ社 1988年)所収「鈴木八郎年譜」(鈴木ミチル)
  • 『写真150年 光とその影 ─日本大学・東京工芸大学オリジナルプリント・コレクション』展図録(1989年)
  • 『鈴木八郎のまなざし ─オリジナルプリント』展図録(JCIIフォトサロン 2009年)
  • 鈴木八郎『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』朝日ソノラマ

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「鈴木八郎」の関連用語

鈴木八郎のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鈴木八郎のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
株式会社思文閣株式会社思文閣
Copyright(c)2025 SHIBUNKAKU Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの鈴木八郎 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS