金管楽器の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 07:26 UTC 版)
金管楽器の構造は至って単純であり、息を吹き込む唄口(マウスピース)と、音量を増大させるための朝顔(ベル)を持ち、それらは円筒または円錐状の管でつながれている。この状態では、音の高低を変えるための一切のしくみを持たないが、唇の状態と息のスピードによって、基音や倍音を切り替え、音の高さを変化させることができる。しかし、管は、長さ(および開管であるか閉管であるか)と音の伝播速度によって共鳴する音の高さが決まっているため、その他の倍音列に挟まれた音を出すことができない。そこで一般に管楽器では、共鳴管の長さを変えることによって共鳴する音の高さを変え、さまざまな高さの音を得る。金管楽器でも古くは現在の木管楽器のような、管の途中にあけられた音孔により、音響学的な管の長さを短くすることによって、より高いさまざまな音を得た。現在では、スライドと呼ばれる二重の管の伸縮や弁(バルブ)といった管の長さを変えるための機構を備えることにより、倍音の単位より細かな音の高低の調節を可能にしている。 振動の元は奏者の唇であり楽器ではないという点において、金管楽器は楽器単体では楽器として完結していないと言える。木管楽器は楽器として完結しているので、ポンプなどで空気の流れを作り楽器に当てれば楽器としての音が出る。それに対し、金管楽器は奏者の唇と合体して初めて楽器として完結する。なお、音の源が人間の唇であるために、音色や音域(特に上限)は、奏者の習熟度や身体的特徴(唇の厚さ、顔面骨格、歯並びなど)に依存する要素が多いという見解が存在する。その一方で、唇の厚さは関係がないという見解も存在する。音域の下限は楽器の大きさ(管長)で決まる。ひとつの音に対しても、その音程にはある程度の幅があり、鍵盤楽器の鍵盤のように固定されたものと言えるほどではない。奏者の意図によって短い楽器では半音以上も音程を変化させることができる。 管を曲げることで物理的な気柱の特質が変わるため、さまざまな形態や調子が試みられ、現在も続いている。ホルンでは、異なる調子を持つ2本の管を一つの楽器に押し込めることが一般的となっている(ダブルホルン)。
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