選手への暴力問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/16 21:38 UTC 版)
2012年末、ロンドン五輪の柔道に出場した日本代表を含む国内女子選手15人が、五輪に向けた強化合宿などで同監督やコーチによる暴力行為やパワーハラスメントがあったと日本オリンピック委員会(JOC)に告発した女子柔道強化選手への暴力問題が持ち上がった。JOCも会見で「(提出された文書には)『死ね』とかそういった言葉が練習の中で出されていたという事が記載されていた」と報告している。全柔連によると、園田監督の暴力について最初に情報が寄せられたのは昨年9月。2010年8月~12年2月に計5件、平手で頬を叩いたり、胸を小突いたりしたとの内容で、監督自身も大筋で認めたため、昨年11月10日付で厳重注意としていた。後の2013年3月にJOCが出した報告によれば、「叩かれないと動けないなら家畜と一緒だ」「消えろ」「能なし」「ブタ」「ブス」などの暴言を選手に向けたほか、棒やむち状のものを持って選手を威嚇するような行動をとる事があった、とされている。園田は、その後10月下旬のブラジル遠征において、9月に告発した選手に対し「余計な事を言いふらしてるらしいな」などと口頭で厳しく責め立てていた。このため、選手たちは監督への処分が極めて軽いものである一方、高圧的な態度をとり続ける園田監督への不満を募らせ、処分の翌日である11月11日にJOCに告発したとされる 。 これを受け全日本柔道連盟倫理委員会が自身による聞き取り調査をした、その結果としてこの訴えがほぼ事実と確認されたため、同委員会が2013年1月19日に園田監督と元強化コーチに戒告処分を言い渡した上で、全日本柔道連盟はなおも園田監督に続投させる予定であったが、折から大阪市立桜宮高等学校運動部における体罰及び生徒自殺事件が報道され社会問題化していた事もあり、世論の批判が高まった。翌1月31日に園田自身が記者会見を開き、一連の問題の責任を取る形で監督辞任の意向を示した。2月1日には全柔連に提出した進退伺が受理されて、監督を辞任する事になった。3月いっぱいで明治大学柔道部助監督も辞任した。4月26日には所属先の警視庁が園田を戒告処分に付した。刑事事件としての立件は、選手らが望んでいない事もあって見送られた。10月8日に全柔連は新体制に移行したことに伴い、女子柔道の暴力指導問題で戒告処分を受けていた園田に対して、新たに1年6ヶ月の会員登録停止の処分を下したことを公表した。この期間に全柔連が主催する大会でコーチなどを務めることが禁じられる。しかし、所属先での指導や試合会場への出入りは認められることになった。一方、全柔連副会長の山下泰裕は園田の監督としての手腕を評価して、「熱血漢で成果を挙げていた。やり方を間違っていたことを大いに反省し、処分が解けたら、ぜひとももう一度現場に復帰して指導してもらいたい。まだまだこれからの人材だ」と語った。 2016年3月には警視庁を退職すると、4月からは大学時代の先輩である吉田秀彦が監督を務めるパーク24のコーチに就任した。この際に、「大変な栄誉とともに大きな重責を感じております。さらに強いチームとするべく、吉田監督とともに尽力してまいります」とコメントした。2017年4月からは所属チームの女子柔道部監督となった。
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