運用離脱から再復活まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:32 UTC 版)
「国鉄8620形蒸気機関車58654号機」の記事における「運用離脱から再復活まで」の解説
しかし、元々古い車両だったために老朽化が進んでいた。2005年(平成17年)の運転開始直前の試運転で軸受に異常発熱が生じ、3月から4月にかけての列車を急遽DE10形ディーゼル機関車牽引として修理を行ったが解消できず、5月から8月の間は後部補機としてディーゼル機関車を連結した状態で運転された。台枠の歪みにより機体のバランスが崩れたために車軸などに負担がかかり、車軸焼けなどを起こすようになっていた。単独での牽引運転が困難となり、修復不可能と判断されたため、8月28日の「SLあそBOY」をもって運用を終了した。 「SLあそBOY」の廃止に伴う運用離脱後、本機も一旦静態保存されることとなったが、JR九州としては動態保存の可能性を模索し、除籍を行わなかった。その後の調査により、奇跡的にも日立製作所に製造時の図面があることが判明し、また九州新幹線の延伸開業などもあり観光資源として有効活用できるとの判断から、2007年(平成19年)2月21日よりJR九州小倉工場にて修復(事実上の代替新造)を実施した。台枠を日本車両で新製、ボイラをサッパボイラで修繕するなど約4億円を投じてSLや客車などを修復した。 2009年(平成21年)4月25日に熊本 - 人吉間で営業運転が再開された。列車名は運用離脱前に同区間を運行していた際の名称から「号」を省いた「SL人吉」とされた。 2010年(平成22年)時点において、車籍を有し営業路線上を営業運行できるSLとしては日本で最も古いものの、実際には新造時の部品はほとんど残っていない。本機の場合、機関車の主体をなすボイラーが1988年(昭和63年)、台枠が2008年(平成20年)にそれぞれ新規に作り直された特異な事例で、1922年(大正11年)製機関車としての履歴を維持し続けた結果「テセウスの船」状態になっているともいえる。
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