運用と性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 06:55 UTC 版)
い号は一個小隊で戦場に投入される。小隊は操縦三分隊と発電一分隊から構成される。通常の戦術は、この分隊を並列に配置し、連携しつつ小作業機を侵入させ、一つの目標を攻撃するものである。陣地攻撃、鉄条網爆破、偵察などの用途に応じてそれぞれの分隊の装備が決定される。最後方には発電車が位置し、分電匡を介して全ての電動車に電力を分配供給した。 二重の鉄条網で防御されたトーチカを排除する場合、第一分隊は一線の鉄条網の爆破、第二分隊は二線の鉄条網の爆破、第三分隊はトーチカの爆破を担当する。このための装備として第一分隊は電動車甲2台に一号作業機を準備し、第二分隊は電動車甲2台と二号作業機を準備する。第三分隊は電動車乙2台と爆薬300kgを搭載した三号作業機を用意する。電動車のうち1台は予備車である。 これらの分隊は、それぞれ目標から200mないし500m程度離れた、周囲の射線から遮蔽された場所に布陣し、電動車を展開させる場所も十分に遮蔽物がある場所を選定する。操縦地点は前方の地形が観察できるところを選び、潜望鏡で観察しながら電動車を誘導する。電動車は十分偽装した上で敵陣へ進入させる。作業が失敗した際には予備車を投入した。電動車の運動性は良好で、また電動車輛の長所としてほとんど音を発生しない。第一分隊の電動車は鉄条網に爆破管を押しこんで退避し、第一線の鉄条網を爆破する。第二分隊の作業機は集団装薬を投下して退避し、二線鉄条網を爆破する。第三分隊の電動車はここから侵入し、トーチカへ肉薄して300kgの爆薬を投下、退避する。300kgの爆薬の爆発はトーチカを粉砕する非常な威力を持ち、半径50m以内の草木が全て吹き飛ばされた。 電気の供給減から距離が離れるほど、ケーブル内での電圧降下により、電動車の運動性能は低下した。操縦可能な距離は通常1,000mまでとされたが、平坦で理想的な地形の場合は1,500mまで可能であった。
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