運用と成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/05 22:09 UTC 版)
2010年5月21日に打ち上げられたIKAROSは、打ち上げ後約1週間をかけて機器のチェックなどを行い、6月2日よりソーラー電力セイルの展開を開始した。6月9日には展開が終了し、6月14日に第1回分離カメラミッションとしてDCAM2が放出された。第1回分離カメラミッションは、ソーラー電力セイルの展開から時間があまり経っていないIKAROSのスピンが早い状態での放出であったため、放出速度を速めに設計しているDCAM2が放出された。DCAM2は計26枚の有効画像の撮影に成功し、15枚目の写真でソーラー電力セイル全体の撮影に成功し、宇宙空間で初となる分離カメラによる宇宙機全体の撮影に成功した。撮影の結果、セイルの膜面に損傷は無く、均等に展開できていることが確認できた。 6月16日にはIKAROSの回転速度を遅くし、6月19日に第2回分離カメラミッションとしてDCAM1が放出された。IKAROSの回転速度が遅くなった後であるため、DCAM1はDCAM2の約3分の2のスピードで放出された。放出速度が遅いため、DCAM1はDCAM2よりもIKAROSに近い位置からの撮影を行うことが可能であり、より詳細なセイルの展開状態を確認することができた。 またDCAM1では電気的に反射率、吸収率を変化させることによってソーラー電力セイルにかかる光圧を変化させ、姿勢制御を行う可変反射率デバイス(液晶デバイス)の動作確認も行った。可変反射率デバイスの動作確認のため、DCAM1はソーラー電力セイルの太陽光反射を直接見ないような方向へと打ち出された。太陽光の直接反射を見ない状態では、拡散した反射光のみがDCAM1に入ってくるため、可変反射率デバイスのオン、オフ状態を画像ではっきりと確認することができた。 このように約15分間という短い運用時間であったが、DCAM1、DCAM2ともIKAROSからの放出、そしてIKAROS本体の撮影に成功し、ソーラー電力セイルの展開状態を確認して異常が無いことと、可変反射率デバイスが正常に動作することを確認した。DCAM1、DCAM2は放出後約15分で電池が切れて活動を休止したが、ともに太陽を周回する世界最小の人工惑星となった。そしてDCAM1、DCAM2は最小の惑星間子衛星(Smallest interplanetary subsatellite)としてギネス世界記録に認定された。
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