進学面の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 10:08 UTC 版)
進学面での対応としては、とくに小・中学校において、不登校となった生徒を、出席日数と関係なく、学校側が進級および卒業させることが一般化している。 ただし、学校側の対応によっては、不登校により、進級または卒業が認められない事例も、ごく稀ではあるが、起こり得る。この場合、転校するか、留年して通学するか、中学校卒業程度認定試験(中卒認定)や夜間中学校などを経て、高校進学または就職することになる。また、現在では、高認(後述)に合格すれば、中学校を卒業していなくても大学受験は可能である。 不登校の生徒の高等学校進学では、中学校への出席日数の不足を理由に不合格とする高校は、公立、私立ともに(とくに公立高校では)、少なくなってきている[要出典]。 加えて、文部科学省の通知により、現在では、調査書(内申書)の代わりに、自己申告書を用いることが可能となっている。また、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールなど学校外の施設への通所・入所や、自宅においてITなどを活用した学習活動を、要件付きで「出席」扱いとすることが、やはり文科省の通知で認められている。このような措置により、不登校児の入学できる高校の選択肢は、それ以前より広がっている[要出典]。 さらに、調査書(内申書)を必要としないか、調査書を重視しない高校も存在する。昼間定時制や通信制などの「単位制高等学校」、その他支援教育を行う普通学校などがそれである(ただし全日制の単位制高校も一般的である)。単位制高校は基本的に、無学年、無学級(クラスが無い)であり、登校日時も柔軟である。また、編入学や高認(後述)の単位認定も容易である(編入学は学校によって制度が異なるため問い合わせが必要である)。もちろん、定時制や通信制ではない全日制の単位制高校で、入学や編入を柔軟に認めている学校もある。 「日本の定時制高等学校一覧」も参照 「高等学校通信教育 (広域通信制高等学校の一覧あり)」も参照 「日本の通信制高等学校一覧」も参照 昼間定時制は、1991年に新宿山吹高校が開校して以降、普及している課程である。昼間定時制は単位制であり、決められた時間割は無く、生徒自らが教科・課目を選択する。定時制ではあるが、昼間に授業があり、また単位制のため、必要な単位を修得するなどすれば、3年間で卒業することが可能である。無学年制で、原級留置(留年)は無く、一度認められた単位は卒業に必要な単位に積み重ねられる。また、無学級であり、授業はクラス単位では行われない。昼間定時制の高校は、全日制高校にはなじみにくい不登校経験者らも積極的に受け入れている。 ただし、昼間定時制に代表される単位制高校は、時間の制約や集団生活の煩わしさからは解放されるものの、主体的に学ぶ姿勢が無ければ、未成年の重要な時期に孤立した状況にも陥りかねない。一般的な全日制の学年制高校と比較した場合のリスクも考慮しなければならない。定時制の単位制高校は、中途退学率および不登校率が、全日制高校より高い。中途退学率は、全日制高校が1.2%に留まるのに対して、定時制の単位制高校の中退率は10.7%である。かつ、不登校率は、全日制高校で1.2%だが、定時制の単位制高校では18.3%に達している。もっとも、定時制には夜間部が含まれており、そのことが中退率と不登校率を押し上げている可能性に注意する必要がある。「昼間」定時制の単位制高校(定時制の昼間部)は、全日制の単位制高校とほぼ同じものである。 このようなリスクがあることは、通信制高校(通信制の単位制高校)でも同様である。通信制高校の卒業率は全国平均で45%に留まっている。また、2004年度に構造改革特区法で株式会社の運営する通信制高校が認められてから、それらは高い卒業率を宣伝することで生徒を集めている。しかし、卒業した後の進路に注目しなければならない。全日制の高校卒業者の進路は、大学等が54.4%で最多、専修学校(一般, 専門)等が23%、就職者が16.4%、無職などそれら以外の者が4.6%となっている。一方で、通信制高校の卒業者の進路は、大学等が16.7%、専修学校(一般, 専門)等が23.8%、就職者が14.3%で、無職などそれら以外の者は43.1%で最も多く、全日制高校とは極端にかけ離れている。なお、大きく増加している広域通信制は、その添削指導のレベルにも改善が求められている。
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