連続変調を持つ言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 14:32 UTC 版)
連続変調は、ほとんどすべての声調言語である程度起きるが、変化のしかたは異なっている。音の高さが意味の違いに関与する声調言語は世界各地、とくにアフリカのニジェール・コンゴ語族や東アジアのシナ・チベット語族に存在する。ほかの東・東南アジアの言語であるタイ・カダイ語族やベトナム語・パプア諸語にも声調がある。中央アメリカのオト・マンゲ語族や北アメリカの一部の言語(カナダのブリティッシュ・コロンビアのアサバスカ諸語など)、ヨーロッパにも声調言語はある。 北アメリカとアフリカの声調言語の多くでは「統語的置換」がなされる。すなわち、ある声調が隣接する別の声調によって置き換えられる。通常この同化のプロセスは順行同化になる。例えば西アフリカのバントゥー語群では、アクセントのない音節の高さは直前の音節の高さと等しくなる。しかし、東アジアおよび東南アジアの連続変調は「範列的置換」のほうが普通であり、隣接する語または形態素にその声調が存在しているかどうかと無関係に、ある声調から別の声調に変化する。 中国で話される多くの言語には連続変調があり、そのうちにはきわめて複雑なものもある。閩南語(アモイ方言、台湾語など)は複雑な体系を持ち、後続する音節が存在するときに各声調が別の声調に変化する。どの声調に変化するかは、音節末子音に依存する。 台湾語には5つの声調があるが、入声(閉鎖音で終わる音節)では2つのみに減る(上表の4と8)。単語において、最後の1音節以外のすべての声調が変化する。入声以外では、声調1が7に、7が3に、3が2に、2が1に変化する。声調5は方言によって7または3に変化する。/p/・/t/・/k/ に終わる入声は互いに異なる入声に変化する(音声的にいうと、高から低に、低から高に変化する)が、声門閉鎖に終わる(上表では h と記されている)音節では音節末子音を失って声調2または3に変化する。 ミャオ語には7つないし8つの声調があり、いくつかの連続変調を示す。実のところ、ミャオ語の7番目の声調と8番目の声調の(きしみ声(-m)と低昇調(-d)の)区別に関する議論は、連続変調に関する問題である。高平調と高降調(ミャオ語のRPA正書法ではそれぞれ -b および -j で示される)の後ろに特定の声調の語が続くと連続変調を引きおこす。連続変調がよく起きるのは、数量詞構造(数詞 + 量詞 + 名詞)においてである。例: ib(一) tus(匹) dev(犬) → ib tug dev (量詞の声調が -s から -g に変わっていることに注意)。
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