近代資本主義との関わり
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「キリスト教における富」の記事における「近代資本主義との関わり」の解説
2つの評論記事が、1904年から1905にかけて出版された。ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーによるものである。彼はプロテスタント、例えばカルヴァン派のような人々が、近代資本主義の土台を形作ったと説明した。これは後に英語に訳され、1930年プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神という本になって出版された。北ヨーロッパの資本主義はプロテスタントのエートスが世俗的な世界で働く多くの人々に影響を与え、その結果発展したと彼は述べた。マックス・ウェーバーは経済社会学においても見解を示しており、経済学者としての成果も挙げている。社会学の源流ともされ、その中でも彼は各宗教から社会を紐解く宗教社会学について研究したが、その計画は未完に終わった。 学者たちは西洋文明とその経済・社会発展の本質が独特であるというヴェーバーの提起について論じあった。学者たちは北欧、西欧、およびアメリカでは、カトリックと正教会の影響が強い地域より経済成長について急激な発展をしている事実を、これを用いて説明しようとした。しかし学者たちの中にはプロテスタントの興隆と経済の発展は無関係であると主張する者もいる。 ロドニー・スターク(英語版)は、キリスト教の合理性は資本主義の成功と西洋の台頭の背後にある主な要因である、と述べた。 また近代になっても私有財産に関して否定的な考えを持つものもおり、例として実業家のアンドリュー・カーネギーが挙げられる。カーネギーは1868年、33歳のとき、カーネギーは「蓄財は偶像崇拝の悪い種の一つだ。金銭崇拝ほど品位を低下させる偶像はない」と記した。しかし彼は金銭自体が悪である事を述べている訳ではなく、私有財産を所有し金銭を崇拝することを悪ということである。これはキリスト教に見られた道徳的価値観とも合致する部分が存在しており、前述した「金銭を愛することが諸悪の根源である。金銭を愛することが人を堕落させることであって、金銭自体が悪ということではない」といった部分と類似している。彼は慈善家として社会に富を分け与えたが、「(財産を分け与えずに)富豪のまま死ぬのは不名誉である」と述べた。こちらにおいても前期キリスト教に見られた富を共有するといった考え方に類似しているともされる。富に関する考えは多くの観点から挙がっているが、現在でも議論が交わされている問題の一つである。
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