近代スウェーデン語
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「スウェーデン語の歴史」の記事における「近代スウェーデン語」の解説
近代スウェーデン語は1526年、宗教改革と活版印刷の導入を画期として始まる。グスタフ・ヴァーサは即位後に聖書をスウェーデン語に翻訳することを命じ、新約聖書が1526年に、全編の翻訳は1541年に完了した。このヴァーサ欽定訳はよくできており、何回かの改訂を経て1917年に至るまで最も普及した翻訳聖書であった。 ヴァーサ欽定訳は当時の口語に執着せず、かといって古風な形にこだわって保守的になりすぎるということもない、新旧スウェーデン語の妥当な折衷であると見なされることが多い。主な翻訳者はローレンティウス・アンドレア、ローレンティウス・ペトリ、オラウス・ペトリの3人で、みなスウェーデン中部の出身であり、中部スウェーデン語の特徴が聖書にも反映されている。 また一貫した正書法の確立へ向けての大きな一歩でもあった。ä、å、öという母音字の用法が確立し、kkの代わりにckを使う点でデンマーク語訳聖書ともはっきり区別できる。おそらくこれは2国間の対立意識から意図的に行われたものであろう。ただこの聖書の翻訳が正書法についての強力な先例となったわけではなく、実際には16世紀を通じて綴りはより不安定になった。綴りについての議論は次第に盛んになり、17世紀になる頃には最初の文法書が書かれ19世紀半ば頃までに正書法が落ち着いた。 この期間、語頭の大文字化については著者の出自によりまちまちで標準化されなかった。ドイツ語の影響を受けた人々は全ての名詞の語頭を大文字化する一方で、それ以外の人々はたまにしか大文字を使わなかった。またブラックレターが使われていたため、どの文字を大文字にするかも自明ではなかった。ブラックレターは18世紀半ばまで使われ、その後はローマン体(主にantiqua)に変わった。 この時期の音韻変化としていくつかの子音が/ɧ/に融合し、前舌母音の前では/ɡ/と/k/が軟音化して/j/と/ɕ/になった。また摩擦音の/ð/と/ɣ/は破裂音化して/d/と/g/になった。
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