身振り・手振り交信の認知
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:22 UTC 版)
「先天盲からの回復」の記事における「身振り・手振り交信の認知」の解説
非言語コミュニケーション研究で人の身体動作は、表象的動作(言葉の代わりに意味を伝達する記号的な動作;たとえば海底でスキューバ・ダイバー同士が使う身振り手振りの合図、野球で使われるサインなど)、例示動作(言葉の伝達を強めるための付随動作;道案内の時に行き先を手で示す、賛同のうなずき、不同意の首の横振りのほか、絵や文字などもここに入る)、感情表出動作(表情や感情表出に伴う身体動作;がっかりしたときのうなだれ、手を叩いて喜ぶ、恐怖で震える、驚いたときの反応動作など)、言語調整動作(相手の発話を促したり規制したりする動作;相づちとしてのうなずき、身を乗り出す、など)、適応動作(伝達意図のない動作;-疲れたあとの大きな伸び、生理的なあくびの動作-など)に5分類される。 開眼者に対しては表象動作や例示動作・感情表出動作などの認知実験が行われた。 開眼者は、晴眼者が行う会話中の様々な動作や、身振り・手振りだけで行われる無言のサインの存在があること自体を認知していないか、言葉(たとえば“ピースサイン”や“バンザイ”といった言葉)を知識としては知っていても視覚経験の不在によりそれを映像的に想像することは不可能だった蓋然性が高い。 最初の実験では、手招きの動作― 肘から先を上下に動かす 禁止・否定の動作― 肘から先を左右に振る 否定・禁止の動作- 両腕を前で交差させる(バッテンのポーズ)、の3つを被験者の前で実演してその意味を教示し、2週間後の実験から、Vサイン、親指と人差し指で作るOKサイン、人差し指で何かを「指示する」動作、肯定を示すうなづき、首を左右に振る「否定」の動作を加えて8種の身振りサインの識別課題実験をほぼ一年間、計7回おこなった。 結果的に、被験者がほぼ一年目の最後の実験で認知したのは「肘から先を左右に振る否定動作」(被験者の答え「ダメダメ」)、「首を左右に振る否定・禁止動作」(「イヤ」)の2つだけで、「うなずく肯定動作」には「アゴを動かしている」「意味はわからない」と答え、他は認知できなかった。
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