資産格差の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 05:50 UTC 版)
産業構造上、本社、金融保険業等のサービス業が集中する一方、地方の産業が製造業や農林水産業を基幹産業としていることで、海外直接投資による地方における産業の空洞化、発展途上国との競争、親企業との取引条件の悪化、関税障壁の低減化、規制緩和・民営化による影響 などの困難な課題に直面している。 雇用面では、有効求人倍率と最低賃金の2つの指標を取り上げれば、地域別有効求人倍率(月間有効求人数/月間有効求職者数・平成19年6月)は、1.0未満が北海道、東北、四国、九州、1.1台が南関東、関西、中国、1.2台が北陸、1.3台が北関東・甲信越であり、愛知県の倍率の高さに牽引される東海は1.6台である。東京を含む1都3県は、周辺3県が1.0前後であるのに対し、東京都は1.39であった。最低賃金については、平成18年時点の地域別最低賃金改定状況による最低賃金時間額が660円を超えているのは、関東、中部、関西の各県のみである。最高額の東京都は719円、最低額の青森、岩手、秋田、高知、沖縄の各県は610 円である。大都市圏以外の地方では、低い最低賃金が賃金水準を規定しているものとみられる。東京では2020年オリンピック決定後ミニバブルといわれるくらいの地価上昇があった一方、地方とくに北海道、東北、四国、九州ではいまだ雇用増にいたらず、景気回復の産業別・地域別偏在化がみられる。 行財政面では、税と同じく使途を制限されない一般財源である地方交付税の削減と、公共事業の削減が地方の財政経済を直撃している。地方交付税は、市町村合併促進のムチとして使われ、地方とくに過疎地域において大きく削減されている。また、「構造改革」として進められている規制緩和についても、地方都市では、規制緩和が進んでも、オフィスビルなどの潜在需要が乏しいため、制度を活用することが難しい場合が多い。このため、規制緩和は大都市圏と地方圏の格差を拡大する一因となっている。 このように、東京への人や企業の集中、集積の経済による生産性の向上は地価や賃料の上昇をもたらし、東京の地価が地方の地価に比べて大きく上昇することで、既に東京で土地を持つ者とそうでない者との間に大きな資産格差を発生させる。
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