豊洲の土壌汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 20:51 UTC 版)
都と東京ガスによる譲渡交渉の中で万全な土壌汚染対策を要することが確認されていたが、都は2009年(平成21年)、これに対して専門家会議に基づき「浄化した土壌の上に盛り土を行う」という方式でこれを行うこととした。また、移転費用は市場会計と築地市場の土地売却で賄い、税金(一般会計)を使わずに行えるとされた。 東京ガスはこの工場閉鎖後、先述の整備計画に則って独自の開発計画を進めており、また工場操業由来の土壌汚染があることも認識していたことから、これに向けて1998年から1999年にかけて独自の土壌汚染調査・対策工事も行っていた。都から打診を受けた東京ガスはこれらの事実を伝え、埠頭の根本にある都有地を市場用地として利用するよう返答したが、前述の理由から都は再度説得し、東京ガスは2001年(平成13年)7月、譲渡要請に応じた。 東京ガスの上原英治会長は、土壌調査の結果汚染があることを、福永正通東京都副知事から築地移転の話が来たときから東京都庁側に説明しており、都庁は承知していたと、百条委員会で証言している。また、石原慎太郎東京都知事とも、一橋大学OB会の如水会で豊洲移転について話をしている。 この土壌汚染のため、東京都議会においては当時の民主党などが反対していた。東京都は、汚染された土を掘り出し浄化処理して埋め戻したことから問題はないとして移転計画を推進したが、一方で汚染を危惧する声もあがっていた。これを裏付けるように、都が2007年(平成19年)10月6日に発表した調査結果で地下水はベンゼン、シアン化合物、鉛、ヒ素が環境基準を、土壌はベンゼン、シアン化合物、ヒ素が環境基準を上回る汚染が明らかになった。 この翌月、都は江東区に市場移転の旨を正式に申し入れ、江東区も翌年から翌々年にかけ新市場に関する各計画に合意した。この際、江東区は市場受入の条件として、都に「土壌汚染対策」「地下鉄8号線の延伸を含む交通対策」「賑わい施設の整備」の履行を求めた。また、2006年(平成18年)に豊洲用地付近に延伸開業したゆりかもめの駅名も「市場前駅」となった。
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