論争の背景と経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 19:40 UTC 版)
1993年以降、日本のSF専門誌は『S-Fマガジン』一誌のみとなっており、ファン層もある程度固定されていた。また、旧ハヤカワ・SFコンテストは1992年以降中断、SFを対象とした新人作家デビューの場は限られていた。この閉じたサークルに対する外部からの批判・揶揄、それに対する反論という枠組みが(そういった現象があるかないかも含め)論争の基本線であった。 しかし、高橋の 過去10年(1987年-1997年)の 日本の SFは 全てクズ であったとする言説からは、 時代論・世代論 SF業界論 「SF」の定義論 商業的価値と文化的価値論 といった論点が導き出され、論争はそれぞれへと飛び火・拡散し、その焦点は一貫して曖昧であった。 当時本格的なインターネットの普及を間近に控えた時代背景のもとで、個人ウェブサイトやニフティサーブを主としたインターネット上でも活発な議論が行われた。これには周辺業界の著名人や、論争の当事者も参加していた。 ファンの間では映画『日本沈没』から『スター・ウォーズ』に到る1970年代の「SFブーム」を「夏の時代」とし、対比すれば1990年代は「冬の時代」であり低調である、とする点に一定のコンセンサスが見られた。また、従来SFの解り易い表象であった「ロボット・宇宙船・レーザー光線・タイムトラベル」などといったガジェットは最早陳腐化が甚だしく、これらに替わって一般的訴求力のあるモチーフが求められているといった言説も良く行われた。 その後はSFマガジンの『てれぽーと』欄(読者及び作家からの投稿コーナー)で散発的な議論が行われるにとどまり、論争は終息して行った。
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