調査で明らかになった被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 14:14 UTC 版)
「バーナード・L・マドフ」の記事における「調査で明らかになった被害」の解説
証券取引委員会による調査の結果、マドフが自ら運営する投資ファンドについて、「(運用によって)10%を上回る高利回り」などと虚偽の内容をうたい、投資家たちから多額の資金を集めたという事実が明らかになった。また、マドフは集めた資金を金融市場などで運用することをせず、既存の顧客たちへ支払わなければならない配当に自転車操業的に回し、それによって巨額の損失を隠していた。つまり、マドフはポンジ・スキームと呼ばれる古典的な金融犯罪を行っていたのである。欧米のメディアや書籍ではマドフの犯罪は一般的にポンジ・スキームと表現されている。(日本のメディアではポンジ・スキームという用語・概念が日本人に十分に知られていないことに配慮してか、英語の報道原文で「ポンジ・スキーム」とはっきり言っている場合でも、それを日本語に翻訳する過程で「"ネズミ講のようなこと"を行っていた」や「"ネズミ講"を行っていた」などと訳されていることも多い。) マドフは逮捕当初は当局に対し、「顧客はわずか25名ほどしかいなかった」などと虚偽を述べたが、捜査の進展にともない、マドフによる資金運用の詐欺の被害に遭った人々の数は、数百人から数千人に及ぶことが明らかになった。アメリカン・フットボールのフィラデルフィア・イーグルス元オーナーのノルマン・ブラマン、ニューヨーク・メッツのオーナーフレッド・ウィルポン、ゼネラル・モータース(GM)の金融サービス部門GMACの会長であるエズラ・マーキン、さらには映画監督のスティーヴン・スピルバーグ、俳優のケヴィン・ベーコンといったセレブリティも被害にあっている。 マドフは一般の投資家のみならず、金融のプロフェッショナルたちや金融機関までを騙していたので、被害者のリストには金融機関や金融のプロの名前が並んだ。例えば、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、BNPパリバ(フランス)、サンタンデール(スペイン)、日本の野村證券などの大手金融機関が被害にあっている。日本では、あおぞら銀行、住友生命保険、三井住友生命、明治安田生命、あいおい生命保険、太陽生命保険、日本興亜損保、富国生命保険なども資金をあずけて被害にあったという[要出典]。 被害総額については見解が分かれているが、一説には500億ドル(約5兆円)、(ただし「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}これは架空の利益を含むので実際の元金の被害額は330億ドル程度(約3.3兆円)[要出典]」ともされた)、あるいは650億ドル(6兆円)とされる。 マドフはユダヤ人社会で一目置かれている存在だったため、ユダヤ人コミュニティーの信用の輪の中で広がってしまい、ユダヤ人の慈善団体や学校などもマドフに資金を預けてかなりの額の損害を被った。また、ファンド・オブ・ファンズ(資金運用をするファンドが資金運用をまかせてしまうようなファンド)の存在によって、被害が連鎖的に広がった面もある。ユダヤプログラムを支援する基金「the Robert I.Lappin Charitable Foundation」もマドフの法人に総額800万ドルを預けて被害にあっている。同基金の責任者は「(被害により、同基金は)もはや存続できない」と話したという。その他にもマドフに資金運用を任せた基金がいくつも存在する。
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