言語変異とは? わかりやすく解説

言語変化

(言語変異 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/14 14:09 UTC 版)

言語変化(げんごへんか、:Language change)とは、自然言語に生じる音声形態意味統語の変化のことである。歴史言語学において研究される。

言語変化

言語は社会的な約束事・規則のため、勝手に変えるとコミュニケーションに支障をきたす。しかしながら、一定で不変のものでもなく、どこかで揺れている。この揺れが、ごく一部の話し手だけにとどまっていれば変化しないが、広く受け入れられると言語の変化となる。意図的に変化させることはできないが、自然の変化を止めることもできない[1]。変化を予測することはできない。変化に必然性はなく、変化した要因は説明できても、同じ条件にある言語なら同じように変化するわけでもない。

要因

言語変化の要因には内的要因と外的要因がある。

  • 内的要因:個々の誤用が蓄積されて定着する。
  • 外的要因:言語接触による。

言語の歴史的研究

言語の歴史的研究を行なう分野を歴史言語学と言う。歴史的研究には、過去の言語で書かれた文字資料が手がかりとなる。とは言え、文字で書くという行為はやや改まった場面でおこなわれるもので、必ずしも話し言葉と一致しているわけではない。また、書き言葉が固定化され、話し言葉の方だけ変化してしまう場合もある。例えば日本語では、明治時代に言文一致が行なわれるまでは、平安時代の言語を基にした文語体が書き言葉として使われていた。英語では、大母音推移によって発音が変化した後も、文字表記は変化させなかったため、綴りと発音との間に大きな乖離が生じた。一方で、文章の中に現れる書き間違いから、当時の発音を知ることもできる。例えば、日本語で過去に「ウルハシ」と書くべきところを「ウルワシ」と書いた例では、当時ハをワと発音するようになっていたことが分かる。

音変化

音変化は以下に大別される。

  • 条件変化:特定の条件下で起こる音変化 例)過去の日本語において ɸ(ファ行の子音)が母音に挟まれた条件でwに変化。
  • 無条件変化:条件によらずに起こる音変化 例)英語の大母音推移

音変化には、以下のように様々なパターンがある。

  • 同化:前後の音のどちらかが他方に作用して、似た音あるいは同じ音に変えてしまうことである。特に、iやeの前にあるkやtがtʃに変化する現象は口蓋化と呼ばれ、多くの言語で見られる。
  • 弱化:母音や子音が弱まる現象。母音弱化子音弱化がある。
  • 音の脱落:「いやだ」→「やだ」、「している」→「してる」などがある。脱落が起きても、元の長さを保つために隣接する音が長くなることがある(代償延長)。
  • 音挿入:語頭、語中、語尾に音が挿入されること。子音連続を回避するため、音を挿入して発音を楽にすることがある。
  • 音位転換:語の中の音の位置が入れ替わること。
  • 過剰修正:間違っていると言われる発音を直そうとするあまり、正しい発音も変えてしまうこと。

形態変化

類推

日本語の一段動詞(上一段活用下一段活用)は、可能形も受身形も「見られる」「食べられる」であるが、五段動詞では可能形は「取れる」「切れる」、受身形は「取られる」「切られる」で別の形を用いる。一段動詞は本来、mi-rareru、tabe-rareruであるが、五段動詞の可能形tor-eru、kir-eruという形からの連想で、一段動詞の可能形でもmir-eru、taber-eruという形が生まれている。また、古英語に360ほどあった不規則動詞は、現在は約60まで減っている。このように、不規則な形があると、記憶を楽にするため、なるべく規則的な型に揃えようとする。このような心理的な働きを類推と言う。一般に、使用頻度の低い語はつい忘れがちになるため、類推を受けやすい。

異分析

異分析とは、誤解によって語が本来とは違う解釈をされることである。たとえば英語のcherry(サクランボ)は、フランス語のcherisのsを複数形語尾と誤解してsを脱落させたものである。

意味の変化

出典

  1. ^ 『言語学 第2版』、170頁。

参考文献

関連項目


言語変異

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/02 14:12 UTC 版)

言語共同体」の記事における「言語変異」の解説

言語共同体という概念は、もっぱら言語変異変化についての分析単位定義する手段として用いられる文体の特性集団社会経済上の地位、共通の利益集団内部においてやそれよりも大き社会によって想定される儀礼水準などの要因によって、言語共同体の間で異なっている。

※この「言語変異」の解説は、「言語共同体」の解説の一部です。
「言語変異」を含む「言語共同体」の記事については、「言語共同体」の概要を参照ください。

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