概念についての沿革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/02 14:12 UTC 版)
言語学的分析の対象として言語共同体という概念が取り入れられて行ったのは1960年代のことであった。この動きの発端となったのがウィリアム・ラボフによる研究であり、ラボフによるニューヨーク市とマーサズ・ヴィニヤードにおける言語変異についての研究は社会科学としての社会言語学の土台を築いた。ラボフの研究は階級と職業が言語共同体(研究ではマーサズ・ヴィニヤードという共同体)内における言語変異に明確な関わりを持っているだけでなく、社会経済上の願望や流動性もまた大きな重要性を持つということを示した。 ラボフの研究より前のものでもっとも近接する言語学の分野であったのが方言学であり、方言学は異なる方言の間での言語変異を研究するものである。方言学の応用で最初に挙げられるのが、物理的な社会流動性が殆どない地方の共同体におけるものである。この為、社会言語学や言語共同体という概念が登場するまでは都市部における言語変異を示す枠組みはなく、社会言語学や言語共同体という概念は地方と都市部の共同体の双方に当て填められる。 1960年代以降、言語共同体がどのように機能しているのかという事についての知識が深められて行き、またその知識を用いることが広められて行くような数多くの研究が成されて来た。言語共同体について研究して来た著名な社会言語学者にはウィリアム・ラボフ、ジョン・ガンパーズ、レズリー・ミルロイ、ロビン・レイコフ、ペネロープ・エッカートがいる。
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