装身具としての眼鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 08:12 UTC 版)
眼鏡は装身具としての側面も持っている。視力の改善でなく見た目の改善を目的として眼鏡が使われることは古くからあり、失明により見苦しくなった眼を隠すためにサングラスを使うことは19世紀から一般的であったし、適切に調整された大きなレンズの眼鏡には顔を陽気に見せる効果がある。顔面の中でも目立つ場所である目の周りに装着する眼鏡の装身具としての可能性は高い。 上記のように眼鏡のフレームには多種多様なものがあるが、実用品としてみればサイズ違いだけで十分である。壊れやすい縁無しなどは実用品としての性能は劣っているともいえる。多種多様なフレームが開発されてきたのは眼鏡が昔から装身具としての側面をもっていたことの証左である。 レンズの改良においても外観の改善つまり厚みの低減には大きな努力が払われてきた。高価な高屈折レンズも、利点は外観の良さが主であり、光学性能ではむしろ劣ってさえいる。 視力に問題がなくても装身目的で眼鏡を装用する者もいる。このような視力矯正作用を持たない眼鏡を伊達眼鏡という。昭和16年に著された本にも、伊達眼鏡をかける者は案外少なくないものだとの指摘が見られ、伊達眼鏡をかけることによって眼に病気が起こるわけでもないのでかけても差し支えないとして、伊達眼鏡が眼に悪いのではないかとの懸念を否定している。 特にまぶしいわけでもないのにサングラスを用いるのも装身目的といえる。サングラスを掛けると眼球に入る光量が減って瞳孔が開くが、紫外線(UV)カット性能が適切なレベルでない製品は、紫外線を余計に眼球に浴び、却って目を傷めることになるので注意が必要だとされる。また、レンズの小さなサングラスをかけていると、瞳孔が開いたところへ顔とレンズとの隙間から紫外線が射し込むので良くないともされる。 このような言説に対しては、 日本では、サングラスでない普通の眼鏡レンズでも紫外線カットが常識になっている程で、紫外線カットされていないサングラスはほとんど流通していない。 紫外線カット機能のないレンズでも、太陽光を素通しする訳ではなく、7割以上の紫外線がレンズで吸収され減衰する。 日中の屋外は屋内の何百倍も明るく、それだけ明るければ、濃いサングラスによって可視光線の9割が遮断されたとしても、依然として瞳孔を閉じさせるに十分な可視光線が残る。 顔とレンズとの隙間から紫外線が入るならば、同じ隙間から可視光線も入って瞳孔が閉じる。 とする反論があり、テレビや雑誌で大げさに誇張されて広まっている言説であり、理屈としてはそうでも、現実には殆ど心配する必要がない。
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